試合レポート

佼成学園vs東海大菅生

2015.04.25

佼成学園がセンバツ帰りの東海大菅生を下し4年ぶりの関東大会進出決める

完投勝利を挙げた小玉 和樹君(佼成学園)

 柔らかな春の日差しに包まれた、絶好の野球日和といってもいい日である。

東京都の春季大会
はハイライトともいえる準決勝を迎えたが、センバツ帰りの東海大菅生佼成学園が下して、4年ぶりの関東大会進出を決めた。

 試合は、やや乱戦気味にもなったが、佼成学園の藤田直毅監督が言うように、「これを勝てばシード権が獲れる、これを勝てば関東大会へ行けるというような、決めるべき試合はきちんと獲っていかないといけないですから、この勝ちは大きいです」と、佼成学園のこの試合にかける思いが優ったと言ってもいいだろう。

 佼成学園は2回、思いもよらないような相手の失策が重なって2点をもらい、さらに一死二三塁で、田窪君の中前打と森口君のスクイズでこの回4点を奪う。3回にも3番中嶋君の左翼へのソロホームランと、さらに四球後の5番山本君の会心の左越二塁打で2点を追加。6回にも中嶋君の三塁への内野安打でさらに1点を追加してここまでは、完全に佼成学園のペースで試合を進めていた。

 しかし、さすがに東海大菅生もそのままでは引き下がらなかった。6回までは、佼成学園小玉 和樹君の力投もあって、打ちあぐね気味だった打線だったが、7回に6番本橋 実生君の左翼への2ランで勢いづいて、さらに1番小磯 和貴君の左中間二塁打などで一死二三塁となったところで捕逸、暴投と相次いでさらに2点、計4点を献上してしまった。それでも、その後をしっかりと押さえこんで、佼成学園は8回にも中嶋君の犠飛で1点を加えて逃げ込んだ。

 一見ミスに見えるバッテリーエラーが続いてしまったが、藤田監督は「投げたい時に投げたい球を投げていける勇気は大切です。得意のシンカーを試合の大事な場面で使いたいんだったらやはり使わなくてはいけませんから、同点まではOKというつもりでした」と、寛大だった。

 そして、藤田監督の思いは何よりも、「小玉は小柄ですけれども、本当にいい投手なので、何とか冠をつけさせてあげたかったんです。だから、今大会は関東大会へ出るという冠が欲しかったですね」と、指揮官としての思いが伝わって、小玉君がその気持ちで攻めながら投げていって、関東大会進出という一つの冠を勝ち取ったことを喜んだ。

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ピンチで集まる東海大菅生ナイン

 そして、チームとしても小玉君が力投して勝ち上がっていくことで、野手も引っ張り上げられていっているという感じで、いい雰囲気である。
また、捕手の橋本君も小玉君のマスターした球を積極的に投げさせていくという意識で、攻めの気持ちになっている。まさに、今大会の佼成学園は試合を戦いながら、一つひとつチームが進化していると言っていいのではないだろうか。

 7回に追い上げながらも届かなかった東海大菅生は、2点差としてなおも二死二塁という場面で、最も信頼できる打者の3番勝俣 翔貴君という場面。ここまで3打数無安打の勝俣君だけに、そろそろこのあたりで一発があるのでは…、という雰囲気にもなったのだが、結局小玉君の力の投球に抑えられ二塁ゴロとなった。東海大菅生の若林弘泰監督も、ここをポイントとして挙げていた。

 それでも、「序盤に得点を取られていながらも、ズルズルと一方気に負けたわけではないですし、こうして反撃して、あわや…、というところまで持ちこたえられたということは収穫です」と、前向きだった。
また、「センバツでは、あんな試合(大阪桐蔭に0対8。試合レポート)でしたし、全国を意識してやっていかないと勝てないなということは、実感しました」と、さらにチームとしての意識を高めていくことを目標としている。

 そして、チームとしては、勝俣君頼りという印象が強かったのを、勝俣君が投げなくて打てないでも試合を作っていけるというチームとしての層の厚さを作っていくことを夏までのテーマとしていた。
「夏までは、少し時間がありますから、ここからもう一度鍛え直していきます」と、気持ちを新たにしていた。

(文=手束仁

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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