二松学舎大附vs札幌大谷
サヨナラ負けに涙も、さわやかに映った札幌大谷の粘り
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<第104回全国高校野球選手権大会:二松学舎大附3-2札幌大谷(9回サヨナラ)>◇9日◇1回戦◇甲子園
サヨナラの走者が本塁ベースを踏むのを目の前にして、涙があふれてきた。ホームベース後方のカバーに入っていた札幌大谷(南北海道)の左腕エース、森谷 大誠投手(3年)の目は真っ赤だった。
同点で迎えた9回1死一、二塁。二松学舎大附(東東京)の1番・親富祖 凪人外野手(3年)に左翼線への安打を許した。左翼手の天野 凰介外野手(3年)がバックホームしようとグラブを差しだしたが後逸。天野は次の瞬間、足を痛めグラウンドに倒れこんだ。
最後までマウンドを守った森谷も限界を迎えていた。1点ビハインドの9回1死で打席に入ったが初球を空振りした際に足に違和感を覚えた。球審に声をかけられるも制して打席に戻った。遊撃ゴロでアウトになったが、一塁へ全力疾走していた。体は悲鳴をあげていた。
しかし、その後にチームメートが奇跡の同点劇を演じてくれた。自分がアウトになって2死走者なしから、連打と暴投で追いついた。森谷の心に火が付いた。9回裏、自分が抑えて延長へと粘るつもりだった。しかし、やはり体力は心ではどうしようもないほど使い切っていた。
札幌大谷ナインの多くは涙していた。サヨナラ負けの悔しさもあっただろうが、9回2死から全員の力で1点差を追いついた試合を演じた自分たちにも感動していたに違いない。現に、9回同点劇の際、ベンチでもすでに涙していた選手もいた。
すべて出し切った。完全にやり切って高校生活を終えた。満足感あふれる涙だったのかもしれない。
二松学舎大附の親富祖は、この試合1番打者として1回のチームの先頭打者として二塁打を放ち1点先制を呼んだ。そして9回5打席目でチームの勝利を決める安打をマーク。劇的ドラマの最初と最後で「主役」を演じた。
(記事=浦田 由紀夫)