試合レポート

聖望学園vs浦和学院

2022.07.27

センバツベスト4浦和学院敗れる! 聖望学園・岡部の”神ピッチ”でいざ13年ぶりの甲子園へ!

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第104回 全国高等学校野球選手権 埼玉大会

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<第104回全国高校野球選手権埼玉大会:聖望学園1-0浦和学院>◇26日◇決勝◇県営大宮

 まさかこんな展開になるとは。決勝の怖さが凝縮された試合となった。

 雨が降り始めた[stadium]県営大宮球場[/stadium]の決勝戦。センバツベスト4、春の関東大会でも優勝し優勝候補筆頭で今大会に臨んだAシード・浦和学院とノーシード・聖望学園との一戦である。この両校は昨夏の初戦で激突しその時は、宮城から主砲・江口が一発を放つなど聖望が一時リードするも、当時右サイドの岡部に対し、高松が逆転満塁本塁打を放つなど、浦和学院が最終的にコールド勝ちを果たしたが今回はどうか。

 まずはスタメンだが、聖望学園は4番に江口 生馬(3年)が復帰、それに伴い双木 琉斗(3年)、三井 颯大(3年)が一つずつ打順を下げる。荒江 思優(3年)、岡部 大輝(3年)が一つずつ打順を上げ、9番には渋谷 一輝(3年)が入る。

 一方の浦和学院はこれまでと大きく打順が変わる。1番には大勝 朱恩(3年)が入り、小林 聖周(2年)は2番に、これまで2番の伊丹 一博(3年)が4番に入り、4番・鍋倉 和弘(3年)はこれまでの不調もあり、7番に下がる。

 先発は、浦和学院が左腕・宮城 誇南(3年)、一方の聖望学園は岡部と両エースが登板し試合が始まる。

 先制したのは聖望学園であった。

 3回表、この回先頭の菅原 天空(3年)が左中間へ三塁打を放ち出塁すると、続く大橋 雄人(3年)が右前適時打を放ち幸先良く1点を先行する。

 この日の聖望学園・岡部はとにかく出来が良かった。
「昨夏の浦和学院戦、満塁本塁打は打たれてからずっと2週間くらい夢に出てきました。今日はデータ通り、弱いコース、球種に基づいて配球できて抑えることができた。真っすぐ狙いのところでカットボールで打ち取ることができた」(岡部)
と、今大会これまでで一番のピッチングを披露する。

 一方、準決勝で花咲徳栄に攻略された浦和学院・宮城も、決勝戦に向け
「ベルト付近の球が高くて変化球でカウントを取れず張られた場面があったので、変化球の精度について考え方の修正」(宮城)
と、きっちりと修正をし、まずまずのピッチングを見せる。

 試合は投手戦となる。

 両投手の好投もあり1対0のまま迎えた終盤は追いかけなればならないはずの浦和学院がやや防戦に回る。

 聖望学園は8回表、この回先頭の大橋が四球を選び出塁すると、続く上石 航大(3年)が左前安打を放ち無死一、二塁とする。ここで4番・江口がライトへ飛球を放つと、三塁への返球が逸れ二走・大橋は一気に本塁を狙う。これがアウトになると、後続も倒れ無得点に終わる。

 聖望学園は9回表にも、この回先頭の三井が右前安打を放ち出塁すると、続くスイッチヒッターの荒江はこれまで送りバントに失敗していた右打席から左打席に変更し、中前安打を放ち無死一、二塁とする。さらに相手の暴投で無死二、三塁とチャンスを広げる。

 だが、ここは浦和学院・宮城が踏ん張る。スライダーを中心に組み立て連続三振と投ゴロで打ち取り無失点で切り抜ける。

 迎えた最終回、浦和学院はこの回先頭の伊丹が四球を選び出塁する。

 これまで浦和学院の歴史を考えると何度こういう場面からの逆転劇を見てきたであろう。今回もそれを期待したが、それは叶わなかった。

 一死一塁で、6番・八谷の打球はショートゴロ併殺に倒れ万事休す。

 この日は聖望学園・岡部が立ちはだかった。

 結局、聖望学園が1対0で浦和学院を制し甲子園への切符をつかんだ。


 まずは聖望学園だが、
「勝ったことさえ信じられなくて夢のよう。岡部は一生に一度のピッチング。真っ直ぐが良かったしコントロールが良かった。岡部は涼しかったこともあり最後まで行かせた。2、3点あると守りに入るので、1点で良かったかも」(岡本監督)
 と言う通り、この日は岡部に尽きる。もちろん、ややワイドなストライクゾーンや雨混じりのこの日の涼しい気候にも助けられた部分もあるが、それを差し引いても素晴らしいピッチングであった。この代は、昨秋準決勝まで勝ち上がったが、岡部の疲労もあり、花咲徳栄戦は初回に10失点を喫するなど5回コールド負け。今春も県初戦で市立川越に敗れ、ノーシードで今大会を迎え最激戦ブロックに組み込まれた。今夏も浦和工戦で大苦戦を喫し、チームに危機感が出た。浦和工戦で東山が長いイニングを投げたこともあり、翌日に迎えた大宮東戦の先発が変更となり、岡部が先発し、東山がリリーフ。今思えばここで形が確立され、打線も監督の言うことを徹底できるようになった。ここからの快進撃は見事であった。甲子園では埼玉の代表として思う存分暴れていただきたい。

 一方の浦和学院だが、まさに痛恨の極みであろう。これで県での5季連続優勝を逃し、県での連勝は31でストップ。
「決勝戦の怖さ。イケるっていう雰囲気はあって、後半は超攻撃を押し出して行ったんですけど。浦和学院を研究してきて。花咲徳栄同様に岡部君は外の出し入れと左打者はインコースのスライダーで攻めてくると思っていた。力みやプレッシャーもあった。1点取れたら違ったんですが。今日は相手投手を褒めるべき」(森監督)

 前の試合でライバル・花咲徳栄を下しながら、まさかの敗戦。エアースポットというか、モチベーションを含め、受けに回ってしまっていた部分があったのかもしれない。攻めの投球をする聖望学園・岡部を最後まで攻略することができなかった。負けた後も泣き崩れる選手はおらず、どこかサバサバとしていた。当然悔しさはあるであろうが、プレッシャーから解放された部分もあるかもしれない。

 宮城も
「出来自体は悪くはなかった。変化球も低めに集まっていて、要所で真っ直ぐも決めることができていた。ただ、先頭打者の四球でチームに流れを持ってくることができなかった。全国制覇を目標にやってきましたが、その機会を失ってしまったのは悔しい。3回はタイムリーより先頭の三塁打が痛かった。バッティングカウントになって、球を入れに行ってしまって悔いが残ります。今後は大学に進学する予定。流れを引き込め、勝てるピッチャーになりたい」
 と、この日12三振を奪ったが、1球に泣く形となった。一昨年秋からずっと浦和学院のエースとして引っ張ってきた宮城も次のステージを目指す。

 最後に、今大会はベスト16に西部地区が7校、南部地区が6校。南部地区はもちろん、今大会は特に西部地区が躍進した大会となった。ベスト8には全チームが私立となっただけに今後は公立高校の躍進に期待したい。そしてコロナ禍の中、チアや吹奏楽が復活した今大会、無事に終えることができたのも高野連を含めた関係者の尽力あってのもの。来年こそ普通の状態で大会を迎えたいものである。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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