試合レポート

山村学園vs川越東

2022.05.01

川越の「ライバル対決」は山村学園が接戦を制しベスト8へ。対川越東戦は公式戦初勝利!

山村学園vs川越東 | 高校野球ドットコム
山田翼(山村学園)

<春季高校野球埼玉大会:山村学園4-3川越東>◇30日◇3回戦◇所沢航空公園

 Cシード・川越東山村学園という川越市のライバル対決である。前日は1回裏終了時、4対1川越東が3点リードという状況で雨のためノーゲームとなっている。それを踏まえた再試合だった。

 スタメンは、川越東が前日と全く同じ。一方の山村学園は前日9番の塙光悟(3年)を7番に上げ、7番の小栗陸斗(3年)を9番に下げた。

 先発は川越東が前日1球で交代した右サイドの名取由晃(2年)、一方の山村学園は前日の初回に打者一巡の猛攻を浴びただけに先発を代えてくるかと思われたが、前日同様に右サイドの山田翼(3年)が登板し試合が始まる。

 山田翼は前日とは別人のような立ち上がりを見せ川越東打線を封じる。先制したのは山村学園であった。3回裏、2死から川越東・名取が突如崩れる。

 山村学園はその機を逃さず1番・井上翔汰(3年)、2番・河村優雅(3年)が連続死球で出塁すると、続く坪井蒼汰(3年)のところで暴投により2死二、三塁とチャンスを広げる。結局坪井は申告敬遠で2死満塁とすると、4番・酒井大輝(3年)が左中間へ2点適時二塁打を放つ。さらに、センターがジャックルする間に一走・坪井も本塁を狙う。そのプレーと同タイミングで打者走者は二塁を少しオーバーランするが、外野からの返球により刺される。そのどちらが早いか微妙なタイミングであったが、本塁生還の方が少し早いという判定になり3点目も認められ山村学園が3点を先制する。

 川越東の反撃は6回であった。5回までノーヒットに抑えられていた川越東は、この回先頭の石川了雅(2年)が右前安打を放ち出塁すると、続く代打・福島淳也(3年)が四球を選び無死一、二塁とする。だが、1番・種田太一(3年)が走者を進められず凡退すると、続く神保直希(3年)も併殺に倒れ絶好の追撃機を逃す。

 一方、山村学園は8回裏、川越東の2番手・津村佳典(2年)を攻め、この回先頭の小栗が中前安打を放ち出塁すると、続く井上がきっちりと送り1死二塁とする。さらに、2番・河村が中前安打を放ち1死一、三塁とチャンスを広げると、続く坪井がきっちりと犠飛を放ち4点差をつけダメを押す。

 試合はこれで決まったかと思われた。だが、川越東が最終回猛反撃を見せる。この回先頭の種田が中前安打を放ち出塁すると、続く神保のカウントがフルカウントとなる。ここで川越東ベンチは走者を動かすと、神保も期待に応え左翼線へ適時二塁打を放ちまず1点、1死後、4番・白水大陸(3年)が右中間へ適時二塁打を放つ。さらに1死二塁から続く大野弘高(3年)も右前安打を放ち1死一、三塁とすると、代打・渡邊航大(3年)のところで一走・大野が二盗を決め1死二、三塁とチャンスを広げる。ここで渡邊は内野ゴロを放ちその間に1点を返すが、後続が倒れ万事休す。

 2日間で両監督共に中心打者を申告敬遠するなど、春の対戦とは思えない本気度の高いゲームとなったライバル対決。結局、山村学園川越東に4対3で勝利しベスト8進出を決めた。

 山村学園は対川越東戦は公式戦初勝利。

「(山田翼の前日に続いての先発について)昨日は雨でちゃんと踏み込めなかったと言っていたんで。やられた分やり返せと。(前日の試合を受けて)相手がシード校で強いのは分かっているんだから。うちはチャレンジャーなんだから思い切っていこう」

と、岡野監督も語っていたが、元々ポテンシャルの高い選手達が前日の試合の入り方を反省し、チャレンジャーとして徹したのがこの日は功を奏した。何よりこの日は前日とは別人のような好投を披露し5安打完投した山田翼に尽きる。最終回捉えられかかったが最後踏ん張った。次の花咲徳栄戦もこの日同様に失うものは何もないという開き直りでぶつかってくると、花咲徳栄も嫌であろう。昨夏の再現なるか。

 一方の川越東は前日の4点のこともあり、この日別人のような山村学園山田翼の投球を見せられ、やや受けに回った印象を受ける。最終回の反撃を見ても、6回表に1点でも返しておけば、全く別の試合展開も予想できた。それだけに一つのバントミスや四死球、ちょっとしたエラーが命取りになることをこの日実感したのではなかろうか。幸い、夏になればエース伊藤も戻ってくる。今大会は投手陣では2年生コンビが踏ん張り、この日も被安打は2人で5だ。彼らも良い経験ができたのではなかろうか。あとは、

「先取点が欲しかった。5回までが淡白過ぎた。ここで負けたから勝ったからということで、夏までにやることが変わるチームではないので積み重ねの練習を繰り返していきます」

と言う野中監督の言葉が全てだ。甲子園への道に近道などない。夏までにどこまで頂点を目指す意識で反復練習を愚直に繰り返し続けることができるか。勝負の年である川越東の今後に期待したい。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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