試合レポート

東亜学園vs都立雪谷

2022.04.05

強豪・東亜学園、プロ注目右腕擁する都立雪谷投手陣を攻略し、打撃戦を制する

東亜学園vs都立雪谷 | 高校野球ドットコム
適時打を打つ武田昂志郎(東亜学園)

 <春季東京都高校野球大会:東亜学園13-8都立雪谷>◇5日◇1回戦◇町田市小野路

 プロ注目右腕・渡邊 顕人投手(3年)擁する都立雪谷と実力校・東亜学園の対決。渡邊を見るために多数のNPB球団スカウトが訪れた。試合は打ち合いとなった。

 東亜学園の先発は身長181センチの左腕・齋藤颯真投手(2年)。まだ120キロ前後で、変化球を駆使する技巧派だが、上背があるので、体ができれば、球速アップする可能性を持った投手だ。

 都立雪谷は渡邉ではなく、186センチの大型右腕・御園拓摩投手(2年)が先発した。左足をバランスよく上げていき、キレイな旋回からトップを作り、リリースに入る。常時130キロ〜136キロの直球の回転はよく、120キロ前半のスライダーのキレも良い。元プロの伊達監督も御園の角度のある直球を評価するほどだった。楽しみな投手であることは間違いないが、強豪校を圧倒できるほどの球を身に付ける必要がありそうだ。

 ミート力が高い選手を揃えた東亜学園打線に捉えられ、2回裏、7番杉田 翔唯外野手(3年)の適時打、1番武田昂志郎捕手(3年)の適時打で3点を失う。

 しかし都立雪谷も3回表、2死満塁から6番・森田裕貴内野手(3年)の中前適時打で2対3の1点差に迫る。7番・林陸哉内野手の右中間を破る二塁打で、二者生還し、逆転に成功する。さらに4回表にも4番・吉田一輝内野手(2年)、5番・山内悠虎外野手(3年)の適時打で3点を追加し、7対3と大きくリードしたが、御園が東亜学園打線に捕まる。

 無死満塁からバッテリーミスで1点を返され、1死となったところで、1番・武田の2点適時打で6対7とされたところで右翼手だったエースの渡邉が登板。しかし、2番藤沢光内野手(3年)に適時打を浴び、さらにエラーもあり、7対8と試合をひっくり返された。

 都立雪谷の渡邉は5回裏こそ無失点に抑えたものの、6回裏、2番藤沢が適時打。そして途中からリリーフとして投げている3番・松本旭陽内野手(3年)が高めに入った直球を捉え、2点適時打、さらに6番倉持大希内野手(2年)の適時打が1本飛び出し、東亜学園が12対7と差を広げる。

 都立雪谷は8回に1番・田口力毅外野手(3年)の適時打で1点を返したが反撃はここまで。

 東亜学園は8回裏、適時打で1点を追加し、好投手2枚擁する都立雪谷相手に11安打13得点を奪い、勝利を収めた。

 東亜学園の武田監督は「この冬、最も力を入れたのは打撃。かなり振り込んできましたし、点は取れる予感はありました」と手応えのある打線が結果を残した。主将・阿出川は「相手では自分たちができることをやれるか。しっかりとボールを見送って、ストライクゾーンをしっかりと振ることを徹底できてよかったと思います」と振り返った。

 ただ、8失点と、守備のミスからの失点も多かった。武田監督は「コロナ禍で野球部の練習ができない期間があり、そうなると足りなくなるのは守備練習での捕球数です。捕球数の少なさが守備のミスに繋がっていると思います」

 次の2回戦に向けて練習を重ねながら臨む予定だ。

[page_break:NPB多数球団が注目した都立の最速143キロ右腕、初戦敗退も非凡な素質を示す]

NPB多数球団が注目した都立の最速143キロ右腕、初戦敗退も非凡な素質を示す

東亜学園vs都立雪谷 | 高校野球ドットコム
2番手・渡邊(都立雪谷)

 <春季東京都高校野球大会:東亜学園13-8都立雪谷>◇5日◇1回戦◇町田市小野路

 町田小野路球場に多数のNPB球団スカウトが詰めかけた。お目当ては都立雪谷渡邊 顕人投手だ。183センチ、75キロと均整が取れた体格から最速143キロを誇る大型右腕だ。実戦力はともかく、ポテンシャルの高さは、今年の東京都ではトップレベルの逸材だろう。元プロ野球選手で、投手として活躍した伊達昌司監督も「指先の感覚が優れていて、入学当初から強い球を投げられる投手でした。体も出来て球もだいぶ速くなった」と評価する。

 渡邊は2番右翼でスタメン出場した。出番となったのは、4回裏の途中だった。右翼手からマウンドに上がったため、準備不足は否めず、130キロ〜136キロ程度で球は走っておらず、なんとか牽制死でピンチを切り抜けた。5回表のイニング途中では懸命に投球練習を行い、準備をした。

 5回裏のマウンドでは、常時133キロ〜138キロ(最速142キロ)の直球と、120キロ前半のスライダー、フォーク、110キロ前半のカーブで配球を構成し、無失点に抑える。しかし6回に集中打を浴び、4点を失う。渡邊は「しっかりと攻めるところに攻めきれず、甘いところに入ってしまった」と反省する。確かにこのイニングは明らかに力のない直球が高めに浮いてしまい振り抜かれてしまった。

 7回以降は球速が135キロ程度にとどまり、計4.2回を投げ、74球、被安打6、4奪三振、3四死球、6失点(自責点5)と満足いく内容ではなかった。

 持っているモノは悪くない。5回裏の迫力満点の直球には非凡なものがあり、惚れ惚れさせられた。本人が得意とするカーブも、もっと磨ければ面白いし、スライダー、フォークの精度も悪くない。まだ発展途上だからこそ、完成形はどんな投手になるのか楽しみなものがある。都大会初戦敗退ではあるが、まだ追跡が必要な投手であることは確かだ。

 「高いステージにいくには、夏に150キロを投げることはマストだと思っています」

 高いモチベーションを持ってどれだけレベルアップするのか。夏までに、東京都を盛り上げるパワーピッチャーへ進化することを期待したい。

(取材=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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