試合レポート

浦和実vs武南

2021.09.08

浦和実・清田が武南の143km右腕・石橋との投手戦を制し県大会進出!

浦和実vs武南 | 高校野球ドットコム
石橋凪仁

 [stadium]県営大宮球場[/stadium]の第二試合は、試合巧者・浦和実と143km右腕・石橋凪仁(2年)を擁する武南との一戦という地区予選屈指の好カードである。この2校は、直近の新人戦でも対戦しており、その時は武南・石橋が浦和実打線を被安打2に抑え完投、5対1で武南が勝利している。浦和実としてはリベンジマッチとなる。

 スタメンは両チーム投手以外全く同じ布陣、先発は武南がエース石橋、一方の浦和実は新人戦時に登板したエース佐々木潤也(2年)や左腕・青山澪羅(2年)、前の試合先発した右サイド・佐川瞳磨(2年)ではなく1年生右腕・清田光が先発し試合が始まる。

 石橋は前の試合でも触れたがスリークウォーターから回転数が多く球質の良い直球を投げ込む本格派、一方の清田は背番号20でオーバーハンドの右腕、西武・豆田泰志浦和実出身)のような本格派かと思いきやそうではない。直球は130km前後だが、動くボールと7種類ある変化球で相手を打ち取る技巧派投手である。

 試合はこの両投手の好投もあり1点勝負となる。

 最初に大きなチャンスを掴んだのは武南であった。

 3回表一死から9番・齋藤幸之介(2年)がライト前ヒットを放ち出塁すると、続く大竹莉功(1年)の犠打が野選となり一死一、二塁とチャンスが広がる。二死後、3番・越沼大喜(2年)も死球で出塁し二死満塁で4番・石橋と絶好の先制機を迎える。だが、頼みの石橋は倒れ無得点に終わる。



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清田光

 すると先制したのは浦和実であった。

 両校無得点で迎えた6回裏、浦和実は先頭の八巻勇輝(2年)が四球を選び出塁すると、一死後4番・岡田拓真(2年)がきっちりと送り二死二塁とする。ここで、続く高畑幸叶(2年)がライト前へタイムリーを放ち貴重な先制点を奪う。

 先制を許し徐々に武南打線に焦りの色が見えてくる。こうなると、打たせて取るタイプの浦和実・清田のペースだ。ヒットを浴びても連打は許さず、先頭打者を出したのも3回表の1回のみだ。結局、最後まで武南打線に的を絞らせなかった浦和実・清田が四死球1、5安打完封勝利を飾り1対0で投手戦を制した。

 浦和実はさすが試合巧者と思わせた。この試合前に石橋対策について問うと辻川監督は1対0と宣言しており、怪我人等が多い現状では、ある程度石橋は打てないことを見越していたはずだ。それでも、宣言通りの結果を出して見せた。新人戦のリベンジに成功し、まさにしてやったりであろう。

 とはいえ、
 「新人戦は完敗。(新人戦エラーで逆転を許したことを受け)まずは守備の堅い子を選び、最近安定している清田を行けるところまで行かせてピンチになったらエース佐々木と。佐々木は投げたくてウズウズしているんだけど、武南打線が清田のことを嫌がっていたんで、もうちょっと待てと。ただ、問題は打線。県には3、4番は戻す予定ですけど怪我等で本来のクリーンアップがいない」(辻川監督)
と、本来のクリーンアップが揃わず、二遊間もいない苦境に変わりはない。それでも、投手陣は右サイド、左腕、そしてこの日の清田など様々なタイプを揃えている。やり繰り上手な浦和実が県大会でどのような戦い方を見せるか楽しみな存在である。



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 一方の武南は、今夏の昌平戦に続き1点差での敗戦となった。特に今夏のメンバーがほとんど残っている今秋ここでの敗戦は痛恨であろう。だが、この日エース石橋は1失点完投であり彼は責められない。もちろん、直近の新人戦で勝っている相手との再戦はリスクがはらむ。

 「序盤のチャンスで先制できず、みんな力んで相手の1年生に嵌められてしまった。良い教訓にしなければ。打線は現状相手からチャンスをもらえないと点が取れず、相手に守られてしまうと意外とあっけないところがあるんで自分達で取れるように。夏に続いての1点差負けが続いているのは偶然ではない。何でこうなっているのかを考えて克服できるようになってくれればということを試合後伝えました」
と、新井監督も痛恨の敗戦を冷静に振り返る。

 とはいえ、今年の埼玉で上位の投手であるエース石橋を擁していることに変わりはなく、安定感のある稲村も控えており投手陣は堅い。石橋も
 「体をもうひと回り大きくして夏までに150km、そして、プロを目指します」
と、春以降の更なる成長を誓っている。

 それだけに、今後はむしろ打線の強化が鍵となるであろう。この日は不発であったが、長打力のある石橋が打順を下げられるような布陣を春以降組めるようになると楽しみな存在であることに違いない。4番打者急募である。



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(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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