宿毛工vs高知高専
宿毛工・1年生強肩捕手の躍動で高知・森木大智への挑戦権獲得!
先発7回90球2安打8奪三振1四球で完封した宿毛工・植村 将士(3年)
まず敗れた高知高専から触れたい。昨年は夏の独自大会と秋の県大会共に出場を辞退。今年に入っても公式戦以外の対外試合は一切叶わなかった中、試合を通じて全力疾走を貫いた高い志は強く印象に残った。この試合では5番を張った岩谷 頼樹(2年・183センチ80キロ・右投右打・茨木市立彩都西中<大阪>出身)ら下級生たちも、ぜひ先輩たちが築いた伝統を継いでほしい。
ただ、それらの対戦相手の状況を差し引いても宿毛工の安定した戦いは見事だった。攻撃では初回に敵失を絡め3点を先制すると、3回表・7回表にも2点ずつを加え13安打7得点。5打数4安打2盗塁の2番・小野 蓮(3年・164センチ50キロ・津野町立東津野中出身)に代表されるように、各人が自分たちの役割をよく理解していた。
その中でも特に目を引いたのはエース・植村 将士(3年・177センチ85キロ・右投右打・四万十市立中村西中出身)を7回90球2安打8奪三振1四球に導いた1年生9番打者・中野 快俐(捕手・170センチ58キロ・宿毛市立東中出身)のリードである。
中学時代から二塁送球1秒9台の強肩を誇りながら「自宅の近くで設備も整っているし、強いチームを倒したかった」とあえて宿毛工の門を叩いた中野は植村も「信頼して投げられた」と話す相手を見たリードで高知高専打線に的を絞らせず。打っても7回表一死満塁から「コンパクトに振る」を意識して初球を見逃さずK-ルド勝ちを決定付ける中前2点打を放った。
宿毛工の次なる相手は最速154キロ右腕・森木 大智(3年)がエースナンバーを背負う高知。「思い切ってぶつかっていくだけ」と山崎 真吾監督は無欲を強調するが、「インコースを突きながらリードしたい」と語る1年生司令塔・中野の頭脳がフル回転すれば、春の四国王者を慌てさせることも十分可能である。
(文=寺下 友徳)