試合レポート

東農大三vs川越南

2021.07.10

東農大三のエース加藤竜馬が好投。9奪三振完投で開幕戦を飾る

 埼玉の夏が2年ぶりに帰ってきた。

 雨の[stadium]県営大宮球場[/stadium]、迎えた開幕カードは東農大三川越南である。試合は開始式後、雨が止むのを待ちグラウンド整備に時間がかかった影響もあり約2時間遅れた。

 両校共に春季大会から陣容が変わっている。東農大三は春の1、3番を入れ替え、4番に飯塚 優太(2年)を入れたことで2年生クリーンアップとなった。また、川越南も春に1番を打っていた横山 武尊(3年)を5番に入れ、1番には1年生の森田 誠也を抜擢する。エースも永井 佑征(3年)から好調な2年生左腕・佐々木 稜太へと変わった。

 先発は東農大三加藤 竜川越南・佐々木の両エースが先発し試合が始まる。加藤 竜は140km近い伸びのある直球が武器の本格派右腕、一方の佐々木は技巧派左腕である。

 先制したのは東農大三であった。

 東農大三は2回表、この回先頭の橋本 拓希(2年)が四球で出塁すると、二死後、8番・加藤 竜もレフト前ヒットを放ち二死一、二塁とチャンスを広げる。ここで続く前川 悠希(3年)がショートへのタイムリー内野安打を放ち幸先良く1点を先制する。

 先制した東農大三は3回表にも、この回先頭の新井 涼介(3年)がレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く加藤 優弥(2年)がライト越えの二塁打を放ち無死二、三塁とする。ここで3番・飯塚がきっちりと犠飛を放ち2点目を奪う。

 2点ビハインドで迎えた5回表、川越南ベンチは球数が多くなっていた粘投の佐々木を諦め、春はエースナンバーであった右腕・永井をマウンドへ送る。

 東農大三は、川越南・永井の代わり端を攻め、この回先頭の飯塚がレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く橋本もセンター前ヒットを放ち無死一、二塁とチャンスを広げる。さらに、6番・丸山 幸輝(3年)の犠打が内野安打となるなど無死満塁とし一気に突き放しにかかる。続く生田 隼大(3年)は犠飛を放ちまず1点、さらに8番・加藤 竜も四球を選び再度満塁とすると、続く前川が右中間へ2点タイムリー二塁打を放つなど、結局この回3点を奪い5点差をつける。


 一方の川越南も反撃すべく、東農大三加藤 竜の前に走者こそ出すが、2度の盗塁死や牽制死、強攻し併殺に倒れるなど、なかなか走者を進められない。

 それに対し、東農大三は9回表にもこの回先頭の丸山がライト前ヒットを足がかりに無死一、三塁とすると、8番・加藤 竜がきっちりと犠飛を放ち6対0とダメを押し、試合の大勢は決したかと思われた。

 だがその裏、川越南が最後の粘りを見せる。

 やや疲れの見え始めた東農大三加藤 竜に対し、川越南は9回裏、この回先頭の代打・尾崎 颯(3年)がセンター前ヒットを放ち出塁すると、さらに相手ワイルドピッチで代走・中林 樹(1年)は二進する。だが、続く小川 昴流(2年)のピッチャーゴロで二走・中林が飛び出してしまう。チャンスは萎むかと思われたが、中林は挟殺プレーの間に三塁を狙うと、相手の三塁悪送球で一気に本塁生還、打者走者の小川も一気に三塁へと進む。さらに、代打・小野寺 拓海(3年)も四球を選び無死一、三塁とチャンスを広げると、一死後、北澤 泰樹(2年)のセカンドゴロがタイムリーエラーとなるなど、2点を返しなお一死一、二塁とチャンスは続く。だが、反撃もここまでであった。4番・山田 士鷹(3年)の打球は良い当たりであったがショートライナー併殺となり万事休す。結局、6対2で東農大三川越南を制し開幕カードを物にした。

 まずは東農大三だが、この日打線は11安打、エース加藤 竜も9奪三振で完投と投打が噛み合った。加藤 竜は今春に比べこの日は直球の割合が少なく、決してムキにならない成長した投球を見せた。「まだ投げていない球種もある」(加藤 竜)と余力を残している。あとは、この日何個かあった犠打の失敗や守備の乱れの部分が改善されれば、自ずと浦和学院への挑戦権を得ることが出来るはずだ。

 一方の川越南は今春の反省を生かし今大会継投で臨み「6回を3失点以内で後半勝負」(佐々木)、というゲームプランがあったそうだが、5回の3失点が重くロースコアのゲームに持ち込めなかった。打線も加藤 竜の直球に対し「伸びがあるのでストライクに見える真ん中付近の球を捨て、ボールに見える低めの直球を捉える」(栗原監督)という加藤 竜対策で試合に臨んだが実らなかった。とはいえ、スタメンに1,2年生が5人という若いチームだ。エース佐々木を中心とし、この日の反省を生かし秋以降の挑戦に期待したい。

(文=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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