試合レポート

大宮南vs武南

2021.04.16

大宮南が延長の末シード校武南を破り県大会進出

大宮南vs武南 | 高校野球ドットコム
8回裏、武南・小幡の同点犠飛で得点

 「勝ちに不思議の勝ちあり」とは言ったものだが、ヒット数は相手に倍の本数を浴び、エラーは7つを喫する。それでも勝てるのだから野球は面白い。

 [stadium]川口市営球場[/stadium]の第1試合は、昨秋はMAX140km右腕原口擁する川口市立に1点差で敗戦した武南大宮南との一戦である。

 先発は大宮南が背番号10の小島 秀仁(3年)、一方の武南は2年生エースの石橋 凪仁が登板し試合が始まる。

 大宮南は序盤から足でプレッシャーをかける。

 大宮南は初回武南・石橋の立ち上がりを攻め、二死から3番・圓田 旺介(3年)がライト前ヒットを放ち出塁すると、続く老川 大智(3年)のサードゴロが相手エラーを誘い二死一、二塁とする。5番・風間 瞭佑(3年)の所で大宮南ベンチはダブルスチールを仕掛けると、これがキャッチャーの三塁への悪送球を呼び幸先良く1点を先制する。

 大宮南は2回にもこの回先頭の齋藤 大介(3年)、続く仲澤 翔渉(3年)が連続四球を選び無死一、二塁と労せずチャンスを得る。8番・木村 衛太朗(3年)がきっちりと送り一死二、三塁とすると、続く小島のショートゴロが相手エラーを誘い2点を追加し序盤で3点差をつける。

 勢いに乗った大宮南は、3回表にも一死から3番・圓田がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く老川もライト前ヒットを放ち一死一、二塁とする。大宮南はここでもダブルスチールを仕掛けるが失敗に終わると後続も倒れ無得点に終わる。5回表にも2四死球を選び一死一、二塁とすると、9番・小島は右中間へヒット性の当たりを放つ。だが、ライト嶋田のファインプレーに阻まれると、ヒットと確信していた二走・齊藤も戻れず併殺となる。

 「5回表の場面はあのあたりで一気にワンサイドに持って行きたい所だったんですが、さすがシード校ですね」
大宮南・蓜島監督も舌を巻いたが、このあたりから試合の流れが変わる。

 序盤から毎回のように走者こそ出すがなかなか打線が噛み合わなかった武南は、5回裏一死から1番・川田大智(3年)が死球で出塁すると、すぐさま二盗を試みる。これがキャッチャーの悪送球を呼び一死三塁とすると、続く成田陸(3年)が右中間へタイムリー二塁打を放ち1点を返し5回を終える。

 6回を迎え両校共に継投に入る。大宮南はエース田村尚大(3年)、武南の稲村航大(2年)がマウンドに上がる。特に稲村はテンポが良い投球で流れを武南に持ち込む。

 武南は6回裏にも大宮南の2番手・田村の代わり端を攻め、この回先頭の石橋がサードへの内野安打を放ち出塁すると、続く越沼大喜(2年)もレフト前ヒットを放ち無死一、二塁とする。さらに7番・小幡圭祐(3年)の所でピッチャーの2塁への牽制が悪送球となり無死二、三塁と絶好の同点機を迎えると、小幡の内野ゴロでまず1点、さらに二死一、三塁から武南ベンチはお返しとばかりにダブルスチールを仕掛けるとこれが見事に決まり3対3の同点とする。


大宮南vs武南 | 高校野球ドットコム
大宮南・田村投手

 試合はこのあたりからシーソーゲームとなる。

 追いつかれた大宮南は7回表、武南・稲村を攻め、一死から2番・金子 悠平(3年)のレフト後方への飛球をレフトがやや目測を誤ると、これが3塁打となり一死三塁とする。続く圓田のピッチャーゴロをピッチャーが弾く間に三走・金子が本塁へ生還し1点を勝ち越す。

 対する武南も8回裏、この回先頭の石橋がライト越えの二塁打を放ち出塁すると、続く越沼もライト前へポトリと落ちるヒットを放ち無死一、三塁とする。ここで7番・小幡が犠飛を放ち4対4の同点とすると、さらに続く稲村もショート強襲ヒットを放ち一死一、三塁と逆転機を迎える。だが、9番・佐久間 大空(2年)がスリーバントスクイズを失敗すると後続を倒れ1点でこの回の攻撃を終える。

 その後、大宮南・田村、武南・稲村の両投手の好投もあり試合は延長へと進む。

 試合が動いたのはタイブレークがちらつく12回表であった。大宮南は一死から1番・川島 隼(3年)が四球を選び出塁すると、すぐさま2盗を決め一死二塁とする。二死後、3番・圓田がレフト前タイムリーを放ち貴重な勝ち越し点を奪う。

 粘る武南もその裏、この回先頭の阪本 友紀斗(3年)がライト前ヒットを放ち出塁する。続く毛塚 進之祐(3年)の所で武南ベンチは2盗を仕掛けるが失敗する。結局毛塚はセンター前ヒットを放ったが、後続が倒れ万事休す。

 結局、大宮南が延長の末、武南に競り勝ち県大会進出を決めた。

 まずは武南だが、この日は序盤2年生バッテリーがバタついたことが最後まで響いた。この敗戦を夏に生かしたい所だが現状は厳しい。私立だが
 「うちは元々グラウンドを持ってなくて、学校内では現状キャッチボールも走ることも許されていない。練習試合もこの状況で断られ、唯一追い込めるのが合宿なんですが、今年は合宿もできてない」
と新井監督は嘆いていた。[stadium]川口市営球場[/stadium]を18時まで借りて練習しているが、ここは高校、大学の大会が入ると練習が出来ず、あとは戸田の軟式球場を借りて練習するそうだが、軟式球場だけに硬式でバッティング練習はできず、グラウンド状態も芳しくないのでノックするのも難しいそうだ。それだけに大会を勝ち進んで実践感覚を取り戻したい所であったが、ここでの敗戦は痛恨であろう。

 一方の大宮南
 「練習はできていないので自粛期間中は選手達に任せるしかなかったけれど、選手達が頑張ってくれて嬉しかった」
と、蓜島監督は試合後感極まっていた。試合前半に足で掻き回した速攻は見事であった。だが、この日は7失策。特に何回か起こった牽制悪送球はキャッチボールの問題であるだけに、投内連係を含めこのあたりは県大会までに練習しておきたい課題であろう。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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