興南vs神村学園
興南・宮城4失点喫するも、粘りを見せサヨナラ勝ち!
宮城大弥(興南)
高校日本代表一次候補に選出され、沖縄大会決勝では15奪三振を記録した興南の宮城大弥が登場。立ち上がりから魅せた。ステップ幅が狭い投球フォームから繰り出すストレートは常時140キロ~146キロを計測。146キロは4球計測するなど、7回までストレートを測り、平均球速は141.83キロと高校生の先発投手として驚異的な平均球速をマークした。さらに際立ったのが変化球の精度の高さだ。投げたのは縦横のスライダー。宮城は握りは変わらず、リリースの位置で縦、横の変化をつけているようで、縦変化、横変化にするのか、捕手・遠矢 大雅が決めるのではなく、宮城自身が決めるというもの。だから受ける遠矢も受ける直前までどちらで曲がるかは分からないようだ。
もともと秋まで横変化が中心だったが、縦変化で空振りを奪いたい思いと投球の幅を広げたい考えから習得した縦スライダーは120キロ後半で鋭く落ちる。
まるでプロの左腕投手のスラッターのような高レベルの変化である。このスライダーに神村学園の打者たちは対応ができなかった。
打線は4回裏、5番金城啓太の本塁打で2点を先制したが、6回表、神村学園の2番・田本涼に甘く入ったスライダーを捉えれ、2ランを浴び、同点を許す。さらに7回表にも二死一、二塁の場面で左飛を左翼手が目測を誤り、安打に二者生還して、逆転を許す。
それでも8回裏、興南は宮城の犠飛と一、三塁からダブルスチールで同点。この同点劇には我喜屋監督も「日ごろからずっと練習をしていました。興南らしい得点の仕方ができました」と振り返った。さらに9回裏、2番根路銘 太希の適時二塁打でサヨナラ勝ちを収めた。
10奪三振完投勝利の宮城は「まだまだ甘いボールが多く、九州の舞台では打たれること思い知らされました。失点した場面ももう少し厳しく攻めていれば抑えることができたと思います」と反省を忘れなかった。捕手・遠矢は「まだ本調子ではないと思います。それでも調子が悪いなりに勝てたのは、良かったと思いますし、成長点だと思います」とエースを労った。
敗れた神村学園は田中 瞬太朗 、桑原 秀侍 はともに2年生で135キロ前後、さらに120キロ前後の縦スライダーで翻弄する好投手で、今後の進化が楽しみだ。
(文・写真=河嶋 宗一)