千葉黎明vs中央学院

川口廉（千葉黎明）

　昨秋ベスト8の千葉黎明vs昨夏ベスト4の中央学院。どちらも力のあるチームだが、試合は思わぬ大差となってしまった。

　まず先制したのは中央学院。1回裏、二死二塁から4番鈴木が左越え適時二塁打を放ち、幸先よく先制したかに思えた。また中央学院の先発・浅野辰樹も、コンパクトなテークバックから振り下ろす右スリークォーター。球速は130キロ中盤で、最速136キロ。スライダーの切れも悪くなく、全体的にまとまっている。千葉黎明の先発・川口廉も好投手で、そう簡単に打てない投手だと思ったが、千葉黎明打線が爆発。

　4番島村篤史（3年）の左前安打、5番川口の右越え二塁打、6番根本昌哉（3年）の四球で、7番小林 洋亮（3年）の2点適時打で逆転に成功。さらに再び満塁となって、1番藤江康太（3年）の適時打で3対1とすると、2番佐々木海渡（3年）は敵失で1点を追加し、一死満塁から3番大堀智哉（3年）が左中間を破る適時三塁打で一気に7対1と点差を広げる。

　さらに4回表にも、3番大堀の右越え二塁打。さらに島村も安打で続き、無死一、三塁から川口の内野ゴロの間に、6回表にも島村の適時打が飛び出し、9対1でリード。昨秋よりも対応力、長打力が増し、川口だけではない強みが出てきた試合内容だった。

　投げては川口廉（3年）が好投。7回1失点に抑え、コールド勝ちを収めた。まずよかったのはストレート。130キロ弱が多かった昨秋と比べると、コンスタントに135キロ前後を計測しており、指にかかったときのストレートは中々の勢いがあり、昨年と比べれば着実にレベルアップをしている。右スリークォーター気味から振りだすフォームにも力強さが加わって腕の振りが速くなり、リリースポイントも安定したことで、回転の良いボールを投げることができていた。変化球はスライダー、カーブのコンビネーションだが、このまま夏まで状態が上がれば、140キロも期待できるだろう。

　そして中央学院の好投手・浅野を攻略したように打線もレベルアップ。特に3番大堀は昨年から長打力が光っていた大型の右打者だが、広角にも強い打球を打てるようになっただけではなく鋭さが出てきたこと。また4番島村も3安打を放ち、広角に打ち返すバットコントロールと打球の強さが光った。チームとして着実にレベルアップしている千葉黎明。昨秋と比べるとまるで別のチームになったと思わせるほどの逞しさがある。春ならば、2000年以来の関東大会進出を目指して、さらに攻守とも内容ある野球を見せていきたい。