明石商vs小野
明石商、投打で安定感ある戦いぶりを見せ、7回コールド勝ち
7回無失点の好投を見せた吉高(明石商)
選抜ベスト8の明石商が初戦を迎えた。明石商は新入生49人入り、なんと部員は136人に。一塁側スタンドに埋まった部員の多さは思わず圧倒されてしまうもの。さて今回の明石商だが、昨秋ベンチ入りしていた選手、レギュラーもベンチ外だったりしている。二季連続の甲子園出場へ、激しい競争を行っているのが伺える。
お互い無得点だったが、2回表、4番明石商 小西翔太(3年)が左前安打で出塁し、5番山崎伊織(3年)の犠打で一死二塁とすると、6番吉高壮(3年)の左中間を破る適時二塁打で先制。さらに3回表には一死満塁から3番橋本の犠飛と4番小西の適時打で3対0。さらに5回表には9番藤原 祐介(3年)の右越え本塁打で4対0と点差を広げる。
さらに6回表には、二死満塁から8番藤井 聖也(3年)の押し出し四球、9番藤原の中前2点適時打で7対0と点差を広げる。そして7回表にも1点を追加し、8対0とした明石商。上位下位と切れ目のない打線で、藤原は昨秋よりもパワーアップ。楽しみな左の好打者だ。
エース・吉高は安定感抜群のピッチングを披露。最速140キロのストレートを連発。昨秋も最速142キロを出していたが、これほど140キロを出すことはなかった。昨秋よりもエンジンが大きくなっているのが実感できる。
100キロ前後のカーブ、120キロ前後のフォーク、130キロ近いスプリット、110キロ前後のスライダーと球種は多彩で、130キロ近いスプリットは打者は全く対応できていなかった。これは高校生レベルで打ち崩すにはなかなか難しいといえる。高校生として非常にレベルが高いピッチングができる投手で、全国大会を経験したからか、非常に落ち着きがあり、多少、ボールが先行してもバタバタせずに組み立てができていた。そして最終回の7回、吉高は全力投球。138キロ~140キロのストレートを連発し、小野打線を圧倒した。初回から130キロ後半を計測していたが、明らかに勢いが違った。試合は明石商が8対0のコールド勝ちで初戦突破を決めた。だが、明石商ナイン、首脳陣を見るとまだ満足した様子ではなかった。このままでは、レベルが高い兵庫県を勝ち進めないと実感しているようだった。
その中でもやはり別格だったのがエース吉高だ。甲子園でもその成長ぶりを実感していたが、吉高は一冬越えて着実に成長した様子が見えた。高卒プロというタイプではないが、同校の先輩であり、現在、日体大のエースとして活躍している松本航のように高いレベルでの活躍が期待できそうだ。
敗れた小野だが、先発の竹内康介(2年)は、下半身主導のフォームから投げ込む直球は、常時125キロ前後だが、なかなか勢いのあるストレートを投げることはできていた。スライダーもしっかりと低めに集めようとしていて、投球は悪くなかった。また打者としても吉高から二塁打を放つなど、打撃センスは高く、野球選手として注目できる。まだ2年生だけあって、今後も期待出来る選手ではないだろうか。
また3番手に登板した片岡俊貴(3年)は、テークバックが大きいフォームから鋭い腕の振りを投げ込む左腕で、球速は最速128キロだが、さらにイニングを重ねていれば、130キロ台の計測も期待できたのかもしれない。スライダーの切れも良く、小野の3投手の中では最も気になる選手であった
(文=河嶋宗一)
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