試合レポート

早大学院vs聖パウロ学園

2015.09.14

後藤決勝三塁打、早大学院延長11回の熱戦に勝利

聖パウロ学園の強打者・菅野 岳史

 試合後、勝利した早大学院の木田 茂監督の声が、ガラガラにかれていた。「声をからすほど必死でした」という木田監督の言葉に、この戦いの激しさが集約されている。
夏はともにシード校。しかも聖パウロ学園には菅野 岳史という強打者がおり、早大学院には好投手と評判の柴田 迅がいる。1次予選で対戦させるにはもったいない好カードは、激しい展開になった。

 先制したのは早大学院。2回表4番太田 雅之の打球は、ライトポール近くに入る本塁打となった。

 3回裏今度は聖パウロ学園が反撃する。この回先頭の9番前田 瑠伽が左前安打で出塁すると、1番山口 裕也が送り、3番強打者の菅野は四球で二死一、二塁。ここで4番の岩渕 光の打球は、二塁への強いゴロ。これを早大学院の二塁手は弾く間に前田が生還して同点。続く5番松尾 奎吾の中前安打で菅野が還り逆転。さらに6番滝口 孝太のライトオーバーの二塁打で、1点を追加した。

 早大学院は5回表に反撃する。左前安打の宮崎 大地を、2番後藤が左中間を破る二塁打で還して1点差。さらに1打席目で本塁打を放った太田の中前安打で後藤も生還して同点に追いつく。

 聖パウロ学園の先発・町田 智輝は打たれながらも、力のある球で試合を作ってきたが、8回表に左腕の宇田と交代する。その8回表に早大学院は5番内海 良太、6番早坂 拓記の連打で一死一、三塁のチャンスを迎える。ここで7番大石 武史はスクイズ。タイミングは微妙であったが、聖パウロ学園の宇田がハンブルして、早大学院が勝ち越した。


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決勝三塁打を放った後藤(早大学院)

 早大学院の先発・柴田 迅は、本調子ではなかったものの、次第に球が低めに決まり出し、4回以降は聖パウロ学園打線を抑えていた。9回裏聖パウロ学園の攻撃も二死。あと一人という場面で柴田は、1、2番に死球と四球を与える。ここで打席に立つのは、聖パウロ学園の勝俣 秀仁監督が「チームの中心」と語る3番の菅野 岳史。菅野は長打性のファールを続けて打ち、次第にタイミングが合っていた。

「打ち気満々ですからチェンジアップを投げられたらなというのはありました」と早大学院の木田監督。ただし、菅野のような強打者に遅い球を投げるのは勇気がいる。結局ストレートをレフト前に打たれ、土壇場で振出しに戻った。

 早大学院の柴田は、延長に入るとギアがもう一段入り、球に力が増す。そして早大学院聖パウロ学園の3人目立川 幸佑から延長11回、後藤が決勝三塁打を放ち、内野安打の宮崎が還り、勝ち越した。

 早大学院の柴田は11回で被安打7、4点を失ったものの体全体を使った力感溢れるフォームから低めにコントロールされたボールを投げ、奪三振8。一方聖パウロ学園の菅野は、9回裏の同点打を含めて3安打。力のある選手同士の対戦は見応えがあった。

 敗れた聖パウロ学園の勝俣監督は、「ひと冬振り込んで、こういう投手を打てるようにやり直したい」と語った。
1次予選で敗れたとはいえ、聖パウロ学園は注目すべき存在であることは間違いない。

(文=大島 裕史


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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