試合レポート

東海大望洋vs成田

2014.09.21

<h4 class="title"  4点ビハインドから逆転!夏覇者・東海大望洋が満塁本塁打で試合を制する
東海大望洋vs成田 | 高校野球ドットコム

藤澤和輝(成田)

 千葉県秋季高校野球大会が開幕。千葉のメイン会場である[stadium]千葉県野球場[/stadium]ではいきなり好カードが実現した。
 この夏、甲子園出場の東海大望洋と2010年夏の甲子園出場の成田。2010年夏の決勝戦で雌雄を決した両校の対決に、[stadium]千葉県野球場[/stadium]は試合前から多くの観客で埋め尽くされた。

 試合は成田がまず試合の主導権を握った。1回表から東海大望洋の先発・原田 泰成(2年)から得点にはならなかったものの、2安打を放ち、2回表、成田は一死から7番酒巻 翔(1年)が安打で出塁し、8番藤澤 和輝(2年)の犠打で二死二塁から9番増本 勇作(2年)が右横線二塁打で1点を先制。さらに3回表には、一死から3番牧の左前安打、4番寺内 晧大(2年)の中前安打で続き、5番斎藤 裕昭(2年)の右前適時打で、1点を追加。さらに外野手の処理ミスで二塁まで進塁。二死二、三塁から7番酒巻が右越え適時二塁打を放ち、4対0とする。

 原田は調子自体は悪くなかった。立ち上がりから常時135キロ~139キロを計測。春は先発時で控え目で130キロ前半が多く、130キロ後半を何度も計測することはなかったが、135キロ以上を何度も計測している。

 球の勢い自体は春よりも増している。成田打線はその原田相手に3回までに8安打を放った。安打の内容も逆方向へ打ち分ける打球が多く、打撃姿勢が素晴らしかった。

 成田の先発・藤澤 和輝(2年)。身体を大きく沈み込ませて、下半身主導のフォームから球持ちの良いリリースから投げ込む左腕。130キロ前後の直球、縦に落ちるチェンジアップ、スライダーを両サイドに散らせながら、東海大望洋打線を3回まで無失点に抑える。だが東海大望洋打線は2回裏に満塁のチャンスを作っており、完全に封じまれているわけではない。きっかけさえあれば、打ち崩せる力があった。


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4回以降から無失点投球を続ける原田泰成(東海大望洋)

 チャンスは4回裏に訪れた。
この回、先頭の5番峯尾 京吾(1年)が反撃の口火を切る中前安打を放つ。夏からチャンスメーカー、ポイントゲッターとして活躍していた峯尾の一打はチームに勢い付けた。6番寺岡 宏太朗(3年)も安打を放ち、無死一、二塁のチャンス。さらにバッテリーミスで無死二、三塁。

 ここで7番潤米が右横線二塁打を放ち、2点を還し、4対2。8番小川 大輔(2年)の犠打で一死三塁とすると、9番原田が中越え適時二塁打で、4対3と1点差に迫る。1番林が犠打を決め、二死三塁として、2番白井が左前適時打を放ち、同点に追いついた。

 立ち上がり連打を浴びていた原田だが、配球を変え徐々に立ち直りをみせる。序盤はストレート中心の投球になった結果、成田打線にとらえられていたが、4回以降は変化球から入ることが多くなった。115キロ前後のスライダー、100キロ台のカーブの割合を増やし、135キロ前後のストレートをより速く見せられる。投球内容を見直した結果、3回以降、無失点投球を続け、試合の流れは東海大望洋に傾きつつあった。


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勝ち越しの満塁本塁打を放った潤米(東海大望洋)

 4点差を追いついた東海大望洋
クリーンナップに回るイニングで一気に勝ち越しを決めたい。
そして迎えた7回裏。この回先頭の2番白井は三振に倒れるも、3番石保 秀大(2年)が右中間を破る二塁打を放ち、チャンスを作る。一死二塁で打席には4番石井 祐二郎(2年)。しかし成田バッテリーは無理をせず、石井は四球で歩かして、峯尾との勝負を選択する。

 

 成田バッテリーは峯尾を左飛に打ち取ったが、6番寺岡は四球。この四球が東海大望洋にとって大きかった。

 打席には7番潤米。
潤米は4回裏にタイムリーを放っており、藤澤に対応できている。
その潤米が振り抜いた打球はレフトフェンスギリギリ飛び込む満塁本塁打となった。

 潤米はこの試合6打点。4番・石井が歩かされても、還せる打者が後続にいるのは心強いだろう。

 原田は8回、9回と成田打線を抑え、4失点完投。東海大望洋が成田を下し、2回戦進出を決めた。

 予選を勝ち抜いた成田と、この日が初めての公式戦を迎える東海大望洋。どちらかをいえば、東海大望洋は初戦の難しさもあり、不利な立場が予想された。成田は原田をしっかりと研究したのか、前半は原田から大量点を取るのではと思わせるほどの勢いがあった。しかし原田は4回以降、無失点に抑え、1つのチャンスをモノにして、同点、勝ち越しに成功した打線の破壊力。改めて東海大望洋の底力を実感させられるゲームであった。

 4点のビハインドからの逆転勝利。勢いに乗る勝利であることは間違いない。

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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