試合レポート

花咲徳栄vs桶川

2011.05.04

花咲徳栄vs桶川 | 高校野球ドットコム

花咲徳栄・廣瀬君

一つひとつに覚悟を決めたプレーで、花咲徳栄2年連続の関東大会進出

 この春の埼玉県大会はベスト4の顔ぶれに浦和学院春日部共栄聖望学園という常連校の名がない。そんな中で、花咲徳栄だけが4強の一角として残った。そして、この試合もコールドゲームで制して2年連続の関東大会進出を決めた。

もっとも、秋以来のチームに関して岩井隆監督は、「(センバツに出場した)昨年のチームに比べるとまったく力はありません。正直、秋はどうなることかと思いました。とにかく、一つひとつのプレーに対して覚悟を決めて臨めと、そのことだけを言ってきました」という意識で、昨秋の2回戦で市立川越に敗退してから冬の間の練習を積んできて、この春の大会に挑んだのだが、その成果を示すことが出来たといっていいのではないだろうか。
冬の成果が如実に表れたということからいえば、関東大会でも去年の出場と、今年の出場では意味が大きく違うということは言えるのではないだろうか。

例年のよう破壊力がない分だけ、チームの戦い方としては小技を磨いていくことも大事になってきているのだろう。
バントや、走塁に関しても一つずつ覚悟を決めていく姿勢が、この試合では初回から表れた。
「覚悟を決める」とは、一つひとつのプレーに集中して、それを徹底するということである。

 初回の花咲徳栄は、長尾君と田中君が連打で出ると、大塚健君のバントが失策を誘い無死満塁。白石君の内野ゴロの間に三走が返って先制。さらに、五番新井君の中犠飛でこの回2点を先取した。

そして、4回にも失策とバントなどで2死三塁となってから、九番金子君からの5連打で5点を奪った。大塚君、白石君という中軸が長打したのも大きかった。さらに、6回にも4本の安打を集中して3点を追加した。


花咲徳栄vs桶川 | 高校野球ドットコム

ピンチに集まる桶川の選手たち

 花咲徳栄の先発北川君は、4回に1点を失ったものの、6回を投げて被安打3は、花咲徳栄のエースナンバーを背負うプライドは十分に示すことが出来たのではないだろうか。7回は、リリーフした上田君が締めたのだが、何だかんだ言いつつも、こうして徐々に仕上げてくるのはさすがといっていいだろう。

 結果としては完敗で力の差を見せつけられた形になった桶川は、それでもノーマークでここまで上がってきたのは大健闘といっていいだろう。
桶川では就任8年目となるベテランの大野仁監督は、就任3年目で桶川に初勝利を記録させて以来、ベスト32、16、8と徐々に階段を上げてきている。
そして、今回初のベスト4で夏の大会は第1シード校として四隅の一角からスタートすることになった。
武藤君と柏君という二人の投手を軸として、接戦に持ち込みながら、何とか粘っていこうという戦い方でここまで来たのだが、ベスト4進出は大健闘といっていいだろう。

もっとも、この試合に関して大野監督は、「競り合いに持って行けなかったことがこういう結果になってしまいました。試合の流れとしては、初回に連打の後のバント処理ミスが痛かったですね。流れを呼び込めませんでしたね。負ける時というのはこんな形になってしまうんですね。ただ、武藤はここまでよく健闘したと思います。夏の第一シードは、……いいんですかね」と、第3位の表彰状を手にしながら、満足感と無念さが入り乱れた、複雑な表情だった。

それでも、「真面目で、大人しくていい子が多いのですが、今年はちょっとはじけそうな子もいますから、それを上手に使いながら生きたいと思います」という意識で、夏へ向けてはこの大会で、確実に一歩、大きく前進したことだけは確かであろう。

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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