英明vs香川中央
中内大登中堅手(英明2年)
プロ注目2選手の「積極的」と「消極的」
この試合、レクザムスタジアムに詰め掛けた観客の視線は今夏甲子園に初出場した英明、プロ注目の大器2名に注がれた。1人は甲子園でも2年生4番として出場した185センチ75キロの中内大登中堅手。もう1人が191センチ72キロの長身サウスポー松本竜也(2年)である。
しかし、ことこの香川中央戦にかんして言えば、両者には「積極的」と「消極的」の称号がそれぞれに与えられることになった。
積極的だったのは中内の方。2打数2安打2打点2死球、安打2本がいずれもフェンス直撃の強烈な当たりだったこともさることながら、1回には1塁走者がディテイドスチールをかけ、相手キャッチャーが2塁送球するや否や3塁から果敢にホームへ突入。
それは香川中央・宮武祐輔(2年)の勇気を持ったブロックに遭って失敗に終わったものの、続く3回には再度3塁からダブルスチールにチャレンジし今度は見事成功。
終わってみれば試合の趨勢を決めることになったこのプレーには、香川智彦監督も「失敗しても気持ちを維持している」と高い評価を与えていた。
その一方で消極的と言わざるを得なかったのは松本であった。「今日はブルペンではよかったのに、ストライクが入らないとすぐに加減してしまう。やらないかんのに自分の中で逃げている」と指揮官が厳しく断じたように、夏の県予選では投球練習中に最速145キロをマークした球速は、1回に3回136キロを掲示するも、5番打者に与えた死球以降は次第に低下。6回を過ぎるとスコアボードのスピードガン表示は「130」を差すことは1度たりともなかった。
結果的には9回に4点を失いつつも134球で9奪三振完投勝利と辛うじてエースの矜持を示した松本だが、これではプロ注目の名が泣くというもの。四国大会進出へ向けての大一番となる寒川戦においては、中内同様の「積極性」を発揮しての剛球復活を求めたいところだ。
(文=寺下 友徳)