都立紅葉川vs都立小岩

　江戸川区にある都立校同士の対戦だが、昨年秋の1次予選、2年前の夏、4年前の夏も対戦し、いずれも都立紅葉川が圧勝している。

　しかし今回都立小岩は、初戦の芝浦工大高に7回コールドで大勝し、しかも急成長を遂げている2年生の合六彪流が、芝浦工大高を7回3安打無失点に抑えるなど、今までとは、状況が変わってきた。そして、合六と、都立紅葉川のエース・栗林直生との対戦は、見ごたえのある投手戦になった。

　序盤都立紅葉川は走者を出しながらも、牽制死、二盗失敗などで、チャンスを生かせない。それでも、都立紅葉川の栗林は、キレのいいスライダーなどを武器に、都立小岩に付け入るスキを与えない。

　4回裏都立紅葉川は2番鈴木貴也の中前安打、4番西久保哲也の死球、5番久保翔吾の右前安打で一死満塁とすると、6番吉田駿がきっちりと中犠飛を上げ、1点を入れた。

　1点は失ったものの、都立小岩の合六は腕の位置をスリークォーターにしたりサイド気味にしたり、時おり超スローボールを投げたりして、相手打線を翻弄する。

　一方都立紅葉川の栗林にとって、ピンチらしいピンチは、3回表、都立小岩の1番松山息吹の右前安打などにより迎えた二死満塁くらいであったが、3番富田辰樹の、本塁前のボテボテの投ゴロを、栗林が素早くグラブトスして、切り抜けた。4回以降は、許した安打は1本だけ。テンポよく、守りのリズムを作る。

　都立紅葉川にとって待望の追加点は、8回表に入る。一死後、2番鈴木貴は左前安打。すかさず二盗し、3番込山太一の左前安打で還すという、そつのない攻めで1点を入れた。

　栗林は9回に四球を1個出したものの、最後の打者は三振に仕留め、3安打完封。2－0で都立紅葉川が江戸川区の都立校対決を制した。

　都立紅葉川の栗林は、好投手とは言われていたが、夏にスライダーやストレートに一層磨きがかかった。次は1日置いて、強力打線の東海大高輪台との対戦だ。栗林の疲れは懸念されるものの、勢いづいており、好ゲームが期待できそうだ。

　敗れた都立小岩であるが、2年生の合六の投球は見ごたえがあった。同じ江戸川区の都立の好投手と投げ合った経験は、さらなる成長のための糧にしてほしい。

(文＝大島 裕史)

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