試合レポート

川之江vs宇和島東

2011.03.30

川之江vs宇和島東 | 高校野球ドットコム

NPB注目の右腕・大西翼(川之江3年)

“並び立つスピードガン。「本格派の饗宴」は川之江・大西翼に軍配!”

甲子園での1回戦視察を終えたのか、この日は多くのNPBスカウトが陣取った[stadium]坊ちゃんスタジアム[/stadium]のネット裏。その動きが第3試合を終えるとにわかに慌しくなった。並び立つスピードガン、そしてハンディカムビデオの先には・・・180センチ・81キロの堂々たる体格の右腕・大西翼川之江3年)の姿があった。

この冬はチーム一体となって取り組んだ体重増加策に加え、個人的にも「フォームを見直して、動くところと動かないところを確認しながらの反復と、それをさせるための体力トレーニングを行なった」(友近拓也監督)彼。縦に大きく割れるカーブを投げられる上腕のしなやかさには以前から定評があったが、「力強くなった」とあるNPBスカウトも評価する安定した下半身から放たれるストレートは、自己最速となる139キロを計測したスピード計時以上に、回転数を増して高橋龍之介(3年)キャッチャーミットを鳴らしていた。

さらに大西翼はこの冬にスライダーのマスターにも成功。これまでストレートとカーブしかなかった球種に幅が増したことで、今大会限りで大洲への異動が決まっている土居浩二監督への恩返しに燃える宇和島東打線に全く的を絞らせないまま、4安打3四球1失点(自責点0)で129球完投勝利。「スライダーに絞って振れた」(友近監督)打線も昨夏甲子園で最速141キロをたたき出した(この日は最速135キロ)赤松茂樹(3年)から8安打と攻略に成功した川之江は、「一戦一戦が大事だが、もちろんそのためにやってきた」(友近監督)、「勝ち上がって四国大会にいく」(大西翼)初戦としては、この上ない形での勝利を飾った。


川之江vs宇和島東 | 高校野球ドットコム

自己最速142キロをマークした宇和島東・中川源和(2年)

ただし、敗れた宇和島東にも1つの光明があった。

赤松の後を引継ぎ8回2死に一塁手からマウンドに立った中川源和(2年)は、大西翼より速い自己最速142キロの直球と、昨秋から格段に引き締まった下半身。
さらに「土居監督への想いを持ってマウンドに立った」気持ちを全面に押し出す投球で無失点の好投。
試合後は恩師との別れに人目をはばからず涙を流した2年生右腕の覚醒は、「本格派の饗宴」にふさわしい、かつ夏以降への期待を抱かせるものであった。

(文=寺下友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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