試合レポート

東海大相模vs向上

2021.09.26

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東海大相模が投打で圧倒V!秋3連覇達成

東海大相模vs向上 | 高校野球ドットコム
求航太郎(東海大相模)

 9月26日、秋季神奈川県大会決勝戦・東海大相模vs向上の一戦は9対2で東海大相模が勝利を収め、3年連続の秋季大会優勝を決めた。

 東海大相模の先発は求航太郎。一時期、故障があったときくが、明らかにパワーアップした姿を見せてくれた。

 真っ向から振り下ろす直球は常時135キロ〜140キロ(最速142キロ)。初回には140キロ以上を6球計測。春の頃と比べると明らかにパワーアップを遂げており、角度があり、重量感が備わったストレートは唸らされるものがある。そして125キロ前後のカットボール、120キロ前後のスライダー、フォーク、110キロ前後のカーブと球種も多彩。

 投手としてもスケールが大きく、総合力も高く、経験豊富で走者を背負ってもバタつくことはない。来年のドラフト候補として注目していい投手だ。コンタクト力が高い向上相手にも要所で力強い。

 打者としてもスイングが実に鋭く、東海大相模で、これほど投打でスケールを持ちながら、実戦力が高い投手も久々といえる。

東海大相模は3回表に、一死一、三塁からチャンスから2番板垣拓心の中前適時打で1点を先制。そして5回表、一死二塁から3番百崎蒼生の適時打で1点を追加すると、6番武井京太郎の3ランで突き放しに成功した。原俊介監督も「5回まで接戦の展開で、どちらに流れがいってもおかしくない試合展開で、本塁打が出て突き放すことができたのは大きいです」と武井の本塁打を称えた。

 その後も武井は7回表にも2点適時打、8回表にはワイルドピッチから1点を追加し、さらに百崎蒼生の適時三塁打で9対2と点差を広げた。

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庄司裕太(東海大相模)

 投手陣も格の違いを見せた。5回一死から無失点の求がライトにシート変更。そしてマウンドに登ったのが、左腕・南琉人だ。湖東リトルシニア時代から世代屈指の左腕として騒がれた投手だったが、故障が長引き、登板できない状態が続いた。しかし今大会で初めて公式戦登板を果たし、この試合は3回戦の湘南学院戦以来のマウンドとなった。ややツッコミ気味な投球フォームなのが気になったが、腕の振りは鋭く、130キロ〜135キロ前後と左腕としては球速はまずまず。120キロ前後のスライダー、チェンジアップも落差があり、左打者相手にも強気に内角勝負することが出来ていたのが特徴的だった。3分の2で1失点に終わったが、残りの練習試合で猛アピールをしてほしい。今年の投手陣では貴重な左投手なだけに活躍を期待したい。

 6回からは前チームから経験のある速球派右腕・庄司裕太が登板。やや腕が下がったフォームから繰り出すストレートは常時130キロ〜136キロを計測。直球の勢いはさすがのもので、特にスリークォーター特有の曲がりを見せるスライダーの精度の高さは絶品だ。4イニングを投げ1失点の好投を見せ、東海大相模が3年連続優勝を決めた。

 原監督は投手陣の力投に、「粘り強く投げてくれました」と称えた。

 投手陣は準決勝で完封した庄田聡史も135キロをマークしており、つまり135キロ以上の速球、なおかつキレの良い変化球を持った投手が4人もいる。全国的に見てもトップレベルの投手陣ではないだろうか。

 打線は14安打。主将の百瀬和真が二塁打を打ったのが大きい。左肩を脱臼した影響でベンチスタートだったが、ノックを見ると、しっかりと投げることができており、準決勝では、守備固めで出場。徐々に調子が上がっているように感じた。そして百瀬は振り遅れながらも二塁打。
「久しぶりの打席で、投手の球もみていなかったので不安でしたがなんとか打ててよかったです」と喜んだ。

 関東大会へ向けてこう意気込んだ。
「関東大会に勝ち進めば投手のレベルが上がるので、そう簡単に点が取れない。だからこそ守り勝つ野球をしたい。1対0で勝つ野球が理想です」
この試合は1失策したが、大会通して安定した守りが目についた。関東大会でも投打で圧倒する野球を見せることができるか注目したい。

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佐藤、廣田の向上バッテリー

 敗れた向上。平田監督は「1試合ごとに成長を見せてくれるチームでした」と決勝戦まで勝ち進んだチームを称えた。

 神奈川NO.1の投手陣を誇る東海大相模相手にも9安打2得点。速球に振り負けない打撃姿勢が光った。主将・小野侑人は速球投手に対する準備が出来ていたと語る。

「普段の練習から速球投手に対する準備はしていて、対戦してもそれほど打ちにくさは感じなかったです」

 小野自身、目線の位置に気をつけ、打席に入っているようだ。1番を打つ小野はミートセンスも高く、外野守備も安定した好打者。さらに統率力の高いキャプテン姿を見ると、大学野球関係者も目につく選手ではないだろうか。3番の田島淳平も3安打を記録。レベルスイングで振り抜き、鋭い打球を連発する左打者で関東大会でも注目される存在となるだろう。

 守備力も非常に高く、遊撃手の遠藤稔弥は安定したグラブ捌きとスローイングが光る。

 エース・佐藤諒音は完投。平田監督は「以前は大量失点することはあったのですが、ビッグイニングを作らず粘り強く投げられるようになりました」とエースの成長を認める。

 関東大会まで残り1ヶ月。平田監督は「こうして点差が開いてしまったので、すべての精度を高めて、臨んでいきたいと思います」とレベルアップを誓った。

 打撃、守備、走塁に関しては関東大会でも勝負できるものがある。あとはエース・佐藤を中心とした投手陣の底上げが課題になるのではないだろうか。これは関東大会だけではなく、1年通しての課題になるだけに、新戦力が浮上するか注目をしていきたい。


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先制の適時打を放つ板垣拓心(東海大相模)

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優勝を決めた東海大相模

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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