試合レポート

藤枝明誠vs知徳

2021.07.22

鋭い打球で細かく得点を重ねた藤枝明誠、7回コールドで知徳を下しベスト8

 つい2週間前に開幕した静岡大会もベスト16が決まって、この日の4回戦からはサバイバル戦となっていく。夏の大会でも一番苦しい胸突き八丁と言ってもいいであろうか。

 昨秋と今春の県大会を制して、この夏も優勝候補の一番手と目されているシード校の藤枝明誠としても、ここから先は決して安易な戦いではないであろう。その藤枝明誠に挑む知徳は、アメリカンフットボール部などの活動も含めて、スポーツで躍進する私学の一つでもある。この春は東部地区予選で富士に敗れて、県大会進出がならなかった。それだけに、この夏に賭ける思いは強いはずである。

 ここまで2試合コールド勝ちで進出してきた藤枝明誠。まずは、シード校としても安定した戦いぶりを示してきたが、この日は今大会初先発となるエースの小林 輝だ。初先発ということもあってか、立ち上がりには少し硬さもみられたようだ。そこを知徳に攻められ四球と盗塁などで二死三塁となったところで、渡邉に左越え二塁打を浴びる。知徳の先制という形で試合が動いた。

 しかし、藤枝明誠もその裏すぐに一死からいずれもフルカウントから粘った末の3連続四球と5番西岡の左犠飛で同点とする。さらに、中野が一、二塁間を鋭く破ってタイムリー打として逆転となった。光岡孝監督は、「前の試合で見た時よりも、金具君が非常に良くて、これは少し手こずるぞと思っていました。先制もされました。だけど、打線が低めの球をよく見極めてくれました。これは、貰った四球ではなくて奪った四球です。それを生かせたのがよかった。これで点を取れなかったらズルズルと行ってしまい、また違った展開になっていたと思う」と、初回の攻防を振り返っていた。

 2回以降は、小林も本来のテンポを取り戻してきて、足をヒュッと上げて、小気味よく投げ込んでくる投球リズムが戻ってきた。そして、2回には自らが右翼へソロホーマーして自分を楽にした。

 3回にも藤枝明誠は一死から4番川瀬以下、西岡、中野と3連打するなどしてチャンスを広げて、スクイズが失策となるなどで、さらに2点追加。ここで知徳の初鹿文彦監督は金具を諦め髙木を送り出す。その髙木に対しても、4回にも一死二、三塁からスタメン唯一人の2年生青木の左犠飛でさらに1点追加。

 5回にも今大会当たっている中野が、この日も3本目となる安打を放つなどしてチャンスを作り、一死満塁から1番宮城が左前打で2者をかえした。

 藤枝明誠の各打者は「低い打球を強く打って行く」ということを徹底しており、長打は「出会いがしらですね」(光岡監督)という小林のソロホーマーのみだったが宮城、中野の3安打に象徴されるように、鋭い打球が光っていた。

 知徳は、4回に二死走者なしから佐藤の左前打と、宝田の左越え二塁打で1点を返したもののそこまでだった。結果的には、藤枝明誠の鋭く振り抜いていく打線が知徳の4人の投手を攻略した。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在28地区が決定、長野では松商学園がノーシードに

2024.05.10

【京都】昨年秋2回戦敗退の鳥羽が京都国際と対戦、昨年秋Vの京都外大西は西城陽と対戦<春季大会>

2024.05.10

【香川】昨夏甲子園Vの慶應義塾を招待!春4強が迎え撃つ<招待試合>

2024.05.10

【和歌山】2季連続Vを狙う耐久と10大会連続決勝進出を狙う智辯和歌山が対決<春季大会>

2024.05.10

【宮城】5大会連続V狙う仙台育英は名取北と白石工の勝者と対戦、東北とは同ブロック<春季大会組み合わせ>

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在28地区が決定、長野では松商学園がノーシードに

2024.05.06

センバツV・健大高崎は夏も強い! Wエース抜きで県大会優勝、投打に新戦力が台頭中!

2024.05.06

【関東】山梨学院と常総学院がそれぞれ優勝、出場校の対戦が確定<春季大会>

2024.05.06

【春季埼玉県大会】花咲徳栄4回に一挙10得点!20得点を奪った花咲徳栄が昌平を破り優勝!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>