試合レポート

習志野vs木更津総合

2019.10.05

習志野と木更津総合の死闘再び 延長12回の末に習志野が制する

習志野vs木更津総合 | 高校野球ドットコム
木更津総合・篠木健太郎

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 今夏、千葉大会準決勝で死闘を演じた習志野木更津総合。奇しくも秋季千葉県大会の準決勝で再び相まみえる。夏を知るメンバーが多く残っている両チーム。木更津総合にとってはリベンジマッチ、習志野にとっては再び挑戦を受ける立場となった一戦。

 前半は緊迫の投手戦。習志野の先発エース・山内翔太は、右打者にはクロスファイヤーを使いながらストライクゾーンを広く使った投球。左打者に対しては、外角を中心にストライクとボールの丁寧な出し入れ。
 千葉黎明戦の時はボール球が多かったが、今日はストライク先行でテンポよく、山内らしさ溢れる投球で木更津総合打線を封じ込めていく。また途中でランナーがいない場面でもクイックで投げてみたりと、あらゆる手段で打者を抑えたところに、引き出しの多さを感じさせた。

 一方の木更津総合の先発は篠木健太郎。夏の試合では先発しており、チームを勝利に導くことが出来なかった。おそらく木更津総合の中では誰よりも習志野に対してリベンジ精神を燃やしているであろう。その悔しさをボールに乗せたかのように、立ち上がりは少し荒れていたストレートも次第にストライクゾーンに集まる。

 夏に比べるとしっかり指にかかったボールがいっており、さらに伝家の宝刀・高速スライダーも混ぜ合わせる。このピッチングを前に強力習志野打線でも簡単にヒットを出すことが出来ない。

 両チームのエースが持ち味を出していくが、5回に木更津総合は8番・篠木のタイムリー。習志野も同じく5回に山内の本塁打で1対1として前半を折り返した。

 次の1点が勝負を分けるかと思われた後半、試合は一転して点数を取り合う。
 木更津総合は6回に1番・秋元俊太のヒットから3番・山中海斗のタイムリーを放つ。この2人はマルチ安打を放ったが共通して言えるのは、仕掛けが小さく、反動を大きく使わないこと。さらに柔らかくスイングができているので、打席の中で柔軟かつシャープに対応することができていた。今後も注目のバッターだ。


習志野vs木更津総合 | 高校野球ドットコム
サヨナラ打を放った角田勇斗を迎え入れる習志野ナイン

 リードを許した習志野だったが、7回に高橋雅也の四球を皮切りに7番・飴谷廉広のタイムリーなどで3点を奪うことに成功。これで逃げ切りたかったが、山内が後半から次第にボールが浮いてくるのを狙われ、8回に木更津総合の先頭の秋元にヒットを許すと、併殺崩れとバッテリーミスで4対4となって延長に入る。

 夏に引き続き死闘となった一戦は11回を終えても決着つかず。13回からのタイブレークも覚悟してきた中で迎えた12回、習志野は一死から2番・小澤拓海がレフト線へ二塁打を放ち、得点圏へ。ここで3番・主将の角田勇斗が三塁線を破る劇的なサヨナラ打。これで習志野が5対4で木更津総合を下して、見事決勝進出。そして関東大会出場を勝ち取った。

 千葉を代表するチーム同士の対戦にふさわしい好ゲームだったこの一戦だったが、ここで1つの習志野のコーチャーボックスに耳を傾けると「ゾーンを上げろ!」の一声。

 低めを捨ててベルト付近に的を絞ればチャンスはあるが、実行するのは難しい。それでも習志野の各打者が、低めのスライダーを見極めるシーンは幾度か見られた。そうした徹底力は習志野の恐ろしい部分だと改めて実感した。

 一方木更津総合。先発の篠木は夏の試合の時よりスピンのきいたストレートが見られ、習志野打線に被安打6四死球2は素晴らしい内容。細かく見ていくと、4番・櫻井亨佑相手に釣り球を使って高低を上手く使ったり外のスプリット系を見せたりと、夏からの成長点が見られた。

 それでも甘く入れば打球は飛ばされる。今日の試合でもあわや長打、という打球をはじき返されひやりとする場面も幾度かあった。質のいいストレートでも強豪相手だと打ち返されることがわかったのではないだろうか。

 また途中からマウンドに上がった2番手・吉鶴翔瑛も篠木に負けず、ストレートとスライダーのコンビネーションが抜群で、リリーフとして役目を果たした。篠木、吉鶴ともに間違いなく実力はこの世代でもトップクラスだろうが、習志野にはあと一歩及ばなかった。この一戦を通じて木更津総合が何を感じ、春にどんな姿を見せるか。1つ楽しみにしたい。

(記事=田中 裕毅)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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