試合レポート

加藤学園vs沼津商

2019.09.08

加藤学園が、中盤に得点重ねて沼津商を下して3位で県大会へ進出

加藤学園vs沼津商 | 高校野球ドットコム
加藤学園・肥沼峻君

 昨秋は静岡県大会ベスト4。3位決定戦で敗れて東海地区大会への出場は逃したものの、今春は決勝進出を果たして東海地区大会にも出場した加藤学園。しかし、期待された夏は、いささか消化不良気味の4回戦での敗退となってしまった。そして、新チームとなったのだが、旧チームからエースナンバーを背負っていた肥沼君が残っただけに、ある程度のチームの柱は作れているというところである。

 もっとも、米山学監督は「前のチームがある程度結果を出しているので、自分たちもやれるのではないかと思っているのはいいのですけれども、結果はあくまで前のチームのものであって、自分たちはまだ力がないんだということを自覚してほしい」という思いもあるという。

 それでも、この試合では肥沼君が「調子そのものはあまりよくない」という中で、それでも粘りの投球でしのぎ切ったのは、やはり経験値があるということも大きな武器となっているのだろう。前のチームでは、上級生の捕手だったのだが、新チームとなって今度は捕手の雨宮君は下級生である。場合によってはサインに首を振ったりして、どちらかと言うと自分が引っ張るような形で逆に雨宮君をリードしている。

「考える投球が出来るようになったのは、やはり成長と言ってもいい」
と、米山監督もそこは評価している。この夏を通していささか投球スタイルが変化してきた肥沼君だが、配球等に関しての考えは確実に進化していると言っていいであろう。

 初回、無死満塁を作りながら併殺の間に三塁走者が帰った1点のみという形での先制だった加藤学園。必ずしもいい形の試合の入りではなかった。案の定、2回には沼津商が三塁打の鈴木晴太君を内野ゴロで帰すという形で追いついている。

 果たして次の得点がどうなのかという展開になったのだが、加藤学園は5回に二死二塁で2番杉山君が中越三塁打して均衡を破ると、自身も暴投で本塁に帰りこの回2点。これで試合の流れは加藤学園に傾き、6回にも一死三塁で2番手として代わったばかりの高沢君から雨宮君が右翼へ2ランして突き放した。さらに、7回にも勝又君、植田君という中軸の連打で得点を加えていった。そして、肥沼君も中盤は調子を上げて行って最後まで投げ切った。

 沼津商の大久保匡人監督は8回のマウンドには、1番をつけた小針君を送り込んで県大会へ向けて、形を整えていた。この試合には敗れはしたものの、沼津商の守りは派手さはないが堅実でしっかりとしているし、しっかりと練習を積んできたチームだなと言う印象ではあった。

 かつて静岡県の高校野球は、商業校が引っ張っていた時代もあったが、その後、普通科志向が強くなってきた時代の中で低迷気味となった商業校。しかし近年、浜松商静岡商島田商と言ったかつて実績を上げたことのある伝統の商業校が復活の兆しを示している。そうした流れの中で、東部地区では沼津商が健闘しているのも光る。沼津商は、甲子園でもおなじみになっている富山県の高岡商によく似たアイボリーと臙脂のストッキングと文字のユニフォームだ。県大会で、どんな戦いを見せるのか、ちょっと興味を引くところでもある。

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.05.13

【仙台六大学】“投手王国”にまたひとり…リーグ戦初登板初先発の東北福祉大・柴田由庵が史上15人目ノーヒットノーラン達成!

2024.05.14

【春季東京都大会総括】日大三、二松学舎大附など強豪校がノーシードの波乱! 新基準バットでも9本塁打の帝京が驚異の打力で王者に

2024.05.14

【2024夏全国ノーシード校一覧】二松学舎大附、履正社、智辯学園、沖縄尚学などビッグネームがノーシードで夏に挑む

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.09

プロスカウトは190センチ超の大型投手、遊撃手、150キロ超右腕に熱視線!この春、浮上した逸材は?【ドラフト候補リスト・春季大会最新版】

2024.05.09

【熊本】九州学院は城北と文徳の勝者と対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.05.09

「指導者はどこにいる?」九里学園(山形)が 選手主体の”考える野球”で成果着々

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?