試合レポート

早稲田実業vs帝京

2018.10.20

吠える伊藤大征が帝京打線を1失点完投勝利でベスト8進出!!

早稲田実業vs帝京 | 高校野球ドットコム
貴重なホームランを放った茅野真太郎(早稲田実業)

 日差しはあるが、空気の冷たさがある[stadium]明治神宮第二球場[/stadium]で早稲田実業と帝京との一戦が行われた。

 両校の対戦は実に2007年秋季東京都大会準々決勝以来。
その時には、帝京では杉谷拳士(日本ハムファイターズ)が3番ショートで出場し、早稲田実業では、佐々木 孝樹(早稲田大-JR東日本)が出場していた。

 序盤から試合は動いていく。
帝京先発の田代涼太が2者連続の四球を与え、無死一二塁となるが田代涼太の好フィールディングで三塁を封殺する。しかし、4番・生沼弥真人が左中間を破るタイムリー二塁打を放ち早稲田実業が先制をする。

 その裏、帝京も二死二塁で4番・藤波怜央がレフトにヒットを放つが、レフトの舘祐作がホームに好返球でタッチアウトとなりこの回無得点に終わる。

 2回裏に帝京がすぐさま追いつく。
一死後、6番・加田拓哉がライト線を破る三塁打を放つ。続く、7番・浜崎斗馬がスクイズを決めて帝京が同点に追いつく。

 3回表に帝京が仕掛ける。先発の田代弥真人をこの回途中で諦め、2番手に柳沼勇輝を送る。柳沼勇輝はスリークォーター気味から投げるストレートは、打者の手元で微妙に動いておりスピードはないが非常に打ちにくい印象を持つ。田代弥真人が作ったピンチだが柳沼勇輝が見事にこの回を無失点に凌ぐ。

 4回表に早稲田実業が二死から連続ヒットで二死一三塁とすると、茅野真太郎がサード強襲のゴロを放ち早稲田実業が勝ち越しに成功する。この二死からの得点は、本当に見事であった。下位からの打線でチャンスを二死から作るところが早稲田実業の今年のチーム力を感じる。

 早稲田実業の先発・伊藤大征だが、慎重になりすぎたせいか5回で100球を超える。
そうなるのも無理はない。帝京打線は毎回のチャンスを作り、5回までに毎回の得点圏にランナーを出しているからだ。このままだと、帝京打線に捕まるのも時間の問題かと思われた。

 すると、伊藤大征長谷川航大のバッテリーは5回辺りからストレートの割合より緩いカーブを多投するようになった。これに惑わされたのが帝京打線。1回から4回までにストレートに遅れ気味であった打線がバットを短く持ち出すと、途端に変化球中心の配球に変わりだしたので球種を絞りこめなくなった。

 7回表に早稲田実業が追加点を挙げる。先頭の1番・茅野真太郎がレフトに豪快な一発を放って3対1とする。



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勝利した早稲田実業ナイン

 終盤に入り、早く同点に追いつきたい帝京は疲れの見える伊藤大征を攻める。
先頭の1番・大内智貴がヒットで出塁を果たすと後続がバントを決める。一死二塁から伊藤大征が痛恨の2者連続の四球を与える。ここで、ギアが上がったかのような投球で死球も恐れずにグイグイインコースを攻めてこの回も無失点で凌ぐ。
8回にも二死満塁のピンチを招くも、ここを三振で切り抜けていく。

 そして、予選からサヨナラ勝ちを決めてきている帝京が最終回に入るとスタンドの応援も気合が入る。しかし、伊藤大征は物怖じしなかった。先頭を味方のエラーで出塁を許して嫌な流れになるが、後続を2者連続三振で打ち取るなどしてゲームセット。

 早稲田実業は、伊藤大征の好投に尽きるといえる。3者凡退で終えたイニングが6回裏のみと、苦しい投球となったのは間違いない。そこを、女房役の長谷川航大が強気にリードをしていった。相手打者の足元を動かすようなインコースへの投球や落ちるボールなど、リードや投球に奥行きがあった。打者で中心となるのは、1番を打つ茅野真太郎の名前が挙がる。今日の試合、ホームランを打ったのもすごいが凡打の内容が素晴らしかった。芯で捉えた当たりで帝京バッテリーに恐怖を与えていた。

 敗れた帝京は、ここぞの1本が出なかったことが敗因ではないだろうか。9回で2桁以上の残塁を重ねてしまった。決して打ちあぐねていたわけではないが、得点圏でのギアの上がった伊藤大征の前にあと1本が出なかった。同地区ではないため夏は当たることはないが、今後帝京が上位に食い込むにはこのような好投手を打ち崩していかないと、夏制覇は見えてこない。

 勝利した早稲田実業はベスト4をかけて、日体大荏原と対戦する。

(文=編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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