試合レポート

都立小岩vs都立三田

2015.07.11

小岩、歓喜の8年ぶりの夏の勝利

 都立校同士の中堅校対決。似たようなチーム同士でもあり、競り合う展開になるかと思われた試合は、序盤に自分たちのペースで試合を運ぶことができた都立小岩都立三田を圧倒した。

 先制したのは都立三田で、死球の盛合 一将君が出ると、すかさず二盗。一死後3番・糸 隼人君の三遊間を破る安打で二塁走者が還った。都立三田としては、幸先のいい形で得点が入った。
しかしその裏、都立小岩もすぐに反撃。一死後に冨田 辰樹君が中前打で出ると、四球で一二塁となり、山下 峻平君が右前打して同点。さらに、一、三塁から遠藤 陸君の内野ゴロの間に三塁走者も還って逆転した。

 2回にも都立小岩は失策とバント安打に1番・小林 翔真君の右前打で無死満塁としたところで、冨田 君が左翼頭上を破る二塁打で走者一掃して3点。これで、都立小岩は試合の主導権を握ることになった。
さらに都立小岩は、5回にも3番・山田 和輝君、4番・山下君の連打からチャンスを作っていって、野選もあって6点目が入り、8番・渡邉 大誠君の右前タイムリーなど、打者一巡の5安打で4点を奪いビッグイニングを作った。

 都立小岩の左腕・松山 息吹君は立ち上がりこそ、やや不安をのぞかせたが、徐々に自分のペースでしっかりと投げていたが6、7回頃から疲れも見え始めてきた。しかし、都立三田打線も早いカウントで打っていったことで、松山君も救われたのではないだろうか。結局、松山君は7回を一人で投げ切って、被安打も2本。与えた四死球も4つとまずまずの内容だった。

 今年の入学生からスポーツ推薦枠もできた都立小岩は、1年生が16人、2年生が12人、3年生が6人という人数構成となっている。この試合では3番から8番までの3年生がしっかりと打って得点に絡んだことで、いい形となったといえよう。

 都立小岩はこれが夏の大会は8年ぶりの勝利となった。いい試合はしてもなかなか勝てないということもあったが、やはり公式戦の勝利は大きい。しかも大事な夏の大会での勝利である。松山君も、1失点での完投は自信になったのではないだろうか。早稲田実出身の西 悠介監督が、自ら経験し学んできた質の高い野球を教えていこうという姿勢が、徐々に浸透してきた。そんな印象を受けた試合であった。

 都立三田は、初回こそ効率よくいい形で得点したものの、その後は攻めきれず、逆にすぐに得点を返されたことで、むしろ焦りのほうが出てしまったのではないかと思わせる試合展開となってしまった。

(文=手束仁


関連記事
・第97回全国高等学校野球選手権大会特設ページ
・あの学校の取り組みは?!東京都の野球部訪問を一挙紹介!
・夏よりも熱い!全国の野球部に迫った人気企画 「僕らの熱い夏2015」

第97回全国高等学校野球選手権大会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.15

【島根】出雲商-三刀屋、大田-益田東など初戦から好カード<地区大会組み合わせ>

2024.05.14

【春季東京都大会総括】日大三、二松学舎大附など強豪校がノーシードの波乱! 新基準バットでも9本塁打の帝京が驚異の打力で王者に

2024.05.15

【北海道】駒大苫小牧がサヨナラ、旭川実、東海大札幌などが全道大会へ<春季全道大会支部予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.05.09

プロスカウトは190センチ超の大型投手、遊撃手、150キロ超右腕に熱視線!この春、浮上した逸材は?【ドラフト候補リスト・春季大会最新版】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?