試合レポート

上尾vs本庄

2021.09.11

この試合のプレー写真は、記事の最終ページの下部に表示されています

新チームを引っ張る主将と1年生、打線好調な上尾が県大会へ

上尾vs本庄 | 高校野球ドットコム
川口翔太朗(上尾)

 上尾市民球場の第一試合は新人戦ベスト4(新人戦は天候不良の影響によりベスト4で打ち切り)の上尾本庄との一戦となる。

 先発は上尾が今夏の登板経験もある右サイド川口翔太朗(2年)、一方の本庄は左サイドのエース寿永直人(2年)が登板し試合が始まる。

 先制したのは上尾であった。

 上尾は初回、本庄・寿永の立ち上がりを攻め、先頭の石川陽己(2年)が四球を選び出塁すると、続く太田壱鳳(2年)の所でベンチはエンドランを仕掛ける。太田は内野ゴロに倒れるが走者を進め一死二塁とする。さらに3番・金丸健司(2年)が死球で出塁し一死一、二塁とチャンスを広げると、続く駿河咲季也(1年・東京神宮シニア)がライト越えのタイムリー三塁打を放つなど、上尾が幸先良く2点を先制する。

 上尾は2回表にもこの回先頭の野口大翔(2年)がレフト越えの二塁打を放ち出塁すると、続く川口がきっちりと送り一死三塁とする。ここで9番・大西健太(2年)のプッシュ気味のスクイズが内野安打となり1点を追加し3点差をつける。

 これで流れを掴んだ上尾は、3回裏にも一死から3番・金丸、4番・駿河が共に四死球を選び一死一、二塁とし、本庄・寿永をマウンドから引きずり降ろす。代わった2番手・右サイドの小島智也(1年)に対しても二死から6番・中村峰(2年)がレフト前ヒットを放ち二死満塁とする。続く野口が押し出し四球を選びまず1点、8番・川口もセンター前タイムリーを放ち5対0とする。

 上尾はその後も攻撃の手を緩めず、5回裏に6番・中村のヒットに2四死球を絡め満塁とし、1番・石川のサード強襲タイムリーと押し出しで7点差、6回裏にもこの回先頭の駿河が三塁線を破る二塁打を放つと、6番・中村がレフト線へタイムリー二塁打を放ち8対0としコールドペースへ持ち込む。

 だが、このままでは終われない本庄は7回表、土壇場で反撃を開始する。


上尾vs本庄 | 高校野球ドットコム
金丸健司(上尾)

 本庄は7回表、この回先頭の小島がライト前ヒットを放ち出塁すると、上尾ベンチは川口からエースナンバー左腕の倉持輝喜(2年)をマウンドへ送る。だが、倉持がピリッとせず連続四死球を与え無死満塁としマウンドを3番手、右腕の志田伊吹(2年)へ譲る。本庄打線は一死後、1番・斎藤和雲(2年)のセカンドゴロの間に三走だけでなく一気に二走も還り2点を返すと、続く木村遥哉(2年)もレフト線へタイムリー二塁打を放つなどこの回3点を返す。

 これにはたまらず、上尾ベンチもマウンドに再度川口を上げ後続を切る。

 やや、嫌な流れとなった上尾はその裏、二死から3番・金丸がライト前へヒット性の打球を放つ。この打球にライトが飛びつくが一歩及ばず後逸し記録はランニング本塁打となる。

 結局、この1点で再度流れを引き戻した上尾が、最終的には9対3で本庄に勝利し県大会進出を決めた。

 まずは、本庄だが上尾投手陣から長打3本を放つなど終盤の反撃は見事であったが、如何せん序盤の失点が重過ぎた。上尾を対戦する時には特に初回の攻撃に注意しなければならない。投手陣は左サイド、右サイドの投手がおりバリエーションは豊富なだけに、春以降はその投手陣の底上げが課題となる。

 一方の上尾だが、打線はこの日も11安打と旧チームでスタメン出場していた主将・金丸に石川、中村など経験のある選手達に、新戦力として1年生で4番を打つ駿河が絡むなど活発である。

「駿河は思い切りが良く反対方向にも打てるようになったので4番を任せようと。俺がやらなきゃという気持ちが強く、向かっていく姿勢もありますし。気持ちを前面に出せる子なので」

と、高野監督も目を細めていたが、東京神宮シニアでも4番を打っていた駿河は、170cmと体は決して大きくはないが、広角に長打が出てスタメン唯一の1年生という状況にも物おじしない。

「自分の良い所はスイングが強い所。私立にはあまり興味がなく公立でやろうと思っていた。上尾高校の練習での熱意を感じて入学しました。現状は打てるポイントで確実に、自分も金丸さんのようにチームのためにという所を意識してやっていきたい。将来は浅村選手のようになりたい」(駿河)

と、野球への意識も高く今後が楽しみな選手だ。むしろ、課題は投手陣か。今夏も登板していた川口がメインとなるが、他にも左腕・倉持に直球に力のある永井楓馬(2年)、他にも戸井田陽(2年)、志田などバリエーションに富んでいる。それだけに川口を他の投手がどれだけカバーできるかが県大会の上位進出への鍵となるであろう。特に永井や新人戦で好投していた左腕・倉持の奮起に期待したい。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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