試合レポート

東海大相模vs慶應義塾

2019.07.22

東海大相模が慶應義塾を粉砕

 相模原球場は、朝から大変な混雑に見舞われた。観客のお目当ては、第1試合、4回戦屈指の好カード、慶應義塾VS東海大相模。試合開始の30分前には、既に内野席は全て埋まっており、スタンドの上部は立ち見の観客で溢れ、開放された外野の芝生席にも次々と観客が増えていく。

 天気は曇りで、気温26.7℃、北東の風0.8m/s。打者にとっては、弱い追い風だが、スコアボード上の旗はほとんど動かない。両校の熱気が渦巻く中、11時に試合開始のサイレンが鳴った。

 1回表、慶應義塾の攻撃。東海大相模の先発は、左腕の冨重。先頭の廣瀬が、カウント1ボール2ストライクから、ライト方向へ鋭い打球を流し打つ。完全に長打コースと思われたが、ライト本間がフェンスにぶつかりながら打球を好捕。スタンド内に、どよめきと、大きな歓声が沸きあがる。その後、2つの四球と1つの死球で満塁となり、5番関は3遊間へゴロを放つ。先制のタイムリーヒットになるかと思われたが、ショート茂谷が逆シングルで軽快に捌き、643の併殺が成立。ピンチを招いた冨重は強力なバックに支えられ、初回を無失点で切り抜けた。

 そして、その裏、今度は東海大相模の強力打線が火を吹く。1番鵜沼が慶應義塾の先発山下からいきなり左中間に大飛球を放つと、打球はスタンドに吸い込まれるソロホームラン。続く2番本間の1塁強襲ヒットと3番井上の四球でランナー1、2塁とすると、4番山村の1塁線を破る3塁打で2点を追加。さらに5番金城の死球でランナー1、3塁となったところで、6番西川に右中間を破る3塁打が飛び出し、また2点が入る。結局、先発の山下は1アウトも取れぬまま降板し、代わって中林がマウンドに上るが、7番加藤にレフトへの犠牲フライを許して6点目。続く8番茂谷のファースト頭上を越える2塁打と四球でランナー1、2塁とピンチが続くが、打順が一巡して1番鵜沼をサードゴロの併殺に討ち取り、ようやく初回の長い攻撃が終わった。

 いきなり大きなビアインドを背負った慶應義塾だが、2回表、すぐに反撃に出る。6番水鳥が1、2塁間を破るヒットと好走で2塁に進み、続く7番佐藤の四球と8番善波の送りバントでランナー2、3塁とチャンスを広げる。ここで東海大相模は早々に投手を交代し、エースの遠藤を投入。しかし、遠藤は1死後、1番廣瀬に大きくバウンドしてセンターに抜けるタイムリーヒットを打たれ、慶應義塾は2点を返す。

 しかし2回裏、攻撃の手を緩めない東海大相模は、3番手投手の田口に対し、振り逃げと盗塁にエラー、さらに四球、盗塁とかき回してランナー2、3塁としたところで、4番山村にセンターオーバーの2塁打が出て2点を追加。なおも進塁打と四球でランナー1、3塁とチャンスが続き、7番加藤が初球を叩くと、打球は左中間スタンドへ。この加藤の3ランホームランで得点は11点。続く9番茂谷の1塁線の鋭い当たりは吉川が好捕するなど、慶應義塾はこれ以上の失点は防いだが、序盤で大差のつく、全く思いもよらない展開となってしまった。


 東海大相模は、3回裏にもレフト前ヒットの1番鵜沼を1塁に置き、3番井上が左中間を抜けようかという大飛球を放つが、慶應義塾はセンター佐藤のダイビングチャッチが飛び出し、ようやく東海大相模のスコアボードにゼロを入れる。しかし4回裏、東海大相模は、四球の後、6番西川がサードのトンネルを誘う2塁打で1点追加。さらに7番加藤のライト頭上を越える2塁打でランナー2、3塁とすると、代わった4番手投手の駒形から9番茂谷がレフトに犠牲フライを放って13点目。ここで風が強くなり、さらに風向が東に変わってライト方向に追い風となる。バッターは9番遠藤。カウント2ボール、ノーストライクからすくい上げたボールは、上がり過ぎのようにも見えたが、この風に乗って、打球はライトスタンドに飛び込む2ランとなり、2点追加。その後、1番鵜沼がサードのエラーで2塁に出塁し、さらに牽制悪送球で3塁に進んだところで、3番井上に1、2塁間を抜けるタイムリーが出て、ついに止めの16点目が入った。

 何とか反撃したい慶應義塾だが、3回以降は2番手投手の遠藤に抑えられる。5回に1番廣瀬が右中間へのソロホームランを放って一矢を報いるも、焼け石に水。後続が倒れてコールドゲームが成立。東海大相模慶應義塾を16-3の大差で破ってベスト16進出を決めた。

 東海大相模の打線は、恐るべき破壊力を見せつけた。慶應義塾の投手陣は、直球は痛打され、変化球はミートされ、なすすべが無かった。しかし、初回に点が入っていたら展開が変わったかもしれないが、東海大相模は守備も堅く、慶應義塾に主導権を渡さなかった。春季大会を制した勢いそのままに、東海大相模は優勝候補の筆頭と言ってよいだろう。

 一方、思わぬ大差で敗れてしまった慶應義塾だが、2年生の水鳥など主力選手が新チームに残るため、この敗戦をバネに、次の秋季大会での雪辱に期待している。

                              

                                          

(文=松田 祥二郎)

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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