奄美vs頴娃
「つながり」「流れ」の大事さを実感・奄美
勝利を喜ぶ奄美
＜第104回全国高校野球選手権鹿児島大会：奄美2－1頴娃＞◇11日◇2回戦◇[stadium]鴨池市民[/stadium]
穎娃は3回表、1死から連打で二、三塁として、2番・前村 諦養（3年）の犠牲フライで先制する。
奄美は久志 歩夢主将（3年）、奥野 教勝（3年）、押虎輝（3年）、3投手の小刻みな継投で目先を変え、これ以上の失点を許さなかった。
打線は3回以降、毎回得点圏に走者を進めながらなかなか1本が出なかったが、8回裏に2死二、三塁として、4番・久志が逆転となる中前2点適時打を放った。
9回表1死一、二塁のピンチを背負うも、久志が粘り強く投げ抜き、接戦をものにした。
野球は「つながり」や「流れ」が大事だという。奄美の遊畑 玄樹監督は「本当にその通りだなぁ」としみじみと実感した。11人のチームだが、大黒柱の久志主将を中心に粘り強く食らいつき、最後は大黒柱が投打で仕事をしての逆転勝利。これまでやってきたことの全てがつながって凝縮されたような一戦だった。
「キャプテン、お前が決めろよ！」
8回裏2死二、三塁、絶好の好機で打席に立った久志主将はベンチのナインの言葉を胸に刻んだ。「自分が絶対に打って返す！」。強い覚悟とは裏腹に、バットは球を芯でとらえることだけに集中し、中前に抜ける逆転適時打で期待に応えた。
9回表は2死一、二塁、一打同点、逆転のピンチだったが「ここで絶対におさえる！」気迫を込め、狙い通りの外角低めの直球で見逃し三振。まるで甲子園を決めたエースのような雄叫びをあげ、駆け寄った捕手・奥野と抱き合って勝利を喜んだ。
無論、勝利は主将1人の力で成し得たものではない。少人数でも1人1人が自分の仕事を果たした結果だ。8回表、遊撃手の厚優晴（3年）は深い三遊間のゴロをダイビングキャッチ。「投手を助けるために、いつも自分のところに打球が来いと念じている」意気込みをプレーで表現した。良い守備は良い攻撃の流れを作る。その裏の逆転劇では1死から内野安打を放って、口火を切った。
久志は主将、厚は副将。苦しい時期もコツコツとまじめに練習を積み重ね、チームをけん引してきた2人が、この大一番で活躍できたのも決して偶然ではない。穎娃の町田 友和監督は遊畑監督の高校時代の恩師。こんなところにも「つながり」や「流れ」があったと思うと感慨深いものがあった。
（取材＝政 純一郎）
