千葉学芸vs専大松戸
千葉学芸が初優勝!昨秋のリベンジに成功し、新たな歴史を作る!
優勝の喜びを爆発させる千葉学芸ナイン
昨秋の県大会、[stadium]千葉県野球場[/stadium]での準々決勝で両チームは対戦した。その時は、延長16回の激戦の末に専大松戸が千葉学芸をサヨナラで下した。あれから7か月の時を経て、両チームが同じ[stadium]千葉県野球場[/stadium]にて行われた春季千葉県大会の決勝で相まみえた。
試合は初回から激しく動く。先攻の千葉学芸が一死三塁から3番・有薗 直輝のタイムリーなどで2点を先制。後攻の専大松戸も直後に3番・大森 駿太朗のタイムリーなどですぐさま2点を返した。
ただ千葉学芸もひるまない。2回には2番・鈴木 結翔が二死二、三塁からライトへ勝ち越し打。3対2と再び専大松戸からリードを奪った。
6回には千葉学芸が4番・板倉 颯汰にもタイムリーが生まれて4対2。そして8回には専大松戸3番手・岡本陸から7番・一戸 大輝がタイムリーを放つなど一挙4得点。貴重な追加点で中押しに成功。千葉学芸が専大松戸を追い詰める。
そして最後は千葉学芸のエース・北田 悠斗がランナーを背負いながらも、専大松戸の最終回の攻撃を0点に抑えてゲームセット。8対2で千葉学芸が初の千葉県王者に輝いた。
昨秋のリベンジを成功させて、悲願の頂点に立った千葉学芸。この優勝に大きく貢献したのはエース・北田の粘りの投球だ。選抜を通じて打線が強化された専大松戸打線を相手に、9回投げて被安打5、四死球2という抜群の安定感。
立ち上がりは「相手が選抜を通じてどれだけ成長しているかわからなかった」ということで、緊張と相まって慎重になりすぎた。ただ、ベンチに戻ってからチームメイトから「攻めの姿勢でいこう」という言葉をかけられたことで、北田のなかで気持ちが切り替えられた。2回以降、ストレートと変化球を巧みに組み合わせる大胆な投球で専大松戸打線からアウトの山を築いた。
千葉学芸先発・北田悠斗
この投球には専大松戸の持丸監督も「特にチェンジアップとスライダーの使い方が良かったですね。失投も少なかったです。夏の舞台に行くにはああいった技巧派を打てるようにしないと」と北田の投球を敵将ながら称賛した。
また主砲・吉岡道泰も北田の巧みな投球に苦戦を強いられたことを語った。
「ストレートと変化球の組み合わせが良くて的を絞れませんでした。なので、カウントを取りに来たスライダーなど甘いボールを仕留めきれませんでした」
昨秋も変化球は使っていたものの、制球力がなく、あまり使えるボールではなかったという北田。そこで冬場は走り込みと並行して、投げ込みをしてコントロールを磨いてきた。
ただ投げ込むといっても1日30球程度。決して数多く投げるわけではないが、1球1球コーナーを狙い、意識を持って取り組んできた。その成果を発揮するように、北田は専大松戸打線が真っすぐに張っていることに気づけば、調子の良かったスライダーを軸にピッチングを組み立てた。
この投球が専大松戸に見事にはまり、相手打線からアウトの山を築いたわけだが、今大会は強豪校ばかりとの対戦だった。初戦の市立柏から始まり、東京学館船橋、中央学院。そして成田と強敵相手に北田は左腕を振り続けた。そのなかで自信を深めていったという。
「特に中央学院は自信を深めました。あそこはチームの中で一番の山場だと話をしていたので、あそこを乗り越えて自身を付けました」
高倉監督は北田の先発はギリギリまで悩んだと語る。
「先発は有薗で行くつもりでいましたが、今朝まで悩んでいました。ですが、選手たちから『(昨秋と)同じメンバーで挑みたい』という申し出がありました。なので、それを尊重しつつ、トレーナーからもコンディションの面でも大丈夫とのことでしたので、起用しました」
ただストレートの走りは速くても130キロ前半ほど。ベンチの高倉監督から見ても「あまり走っていなかった」と疲労は隠せていなかった。それでも「悪いなりに良く抑えてくれた」とエースの踏ん張りを称えていた。
初優勝を飾り、新たな歴史の1ページを刻んだ千葉学芸。関東大会では初戦で関東一と戦うことが決まっている。初戦から厳しい試合だが、戦国千葉を勝ち抜いたチーム力で好ゲームを繰り広げてくれることを期待したい。
(取材=田中 裕毅)