札幌第一vs稚内大谷
夏王者・札幌第一がコールド発進!5番・川口の満塁弾で流れ掴む!
仲間とハイタッチする川口友翠
4日より開幕した秋季北海道大会。各支部予選を勝ち上がったチームが全道大会に集まったが、夏の南北海道大会を制した札幌第一が初日から登場。稚内大谷との試合を迎えた。
新チームのスタートが遅れた札幌第一だったが、野手陣はしっかりとバットを振れる選手が多い印象を受けた。上位陣はしっかりとポイントを前におき、下位打線になると逆にポイントを近くにおいて、最短距離で上からバットを出してボールを叩く。打線に切れ目がなく、強力な打線だった。
その中でも取り上げたいのが2人。まずは4番に座った伊藤鴻成。小学生の時は北海道日本ハムファイターズジュニアに選出されている実力者だが、オープンスタンスで構えてピッチャーが足を下ろし始めたらすり足でタイミングを取る。バットを耳と同じくらいの高い位置で構えておいて、ポイントを前において、鋭い回転でボールを捉えて飛ばしていく。
2人目が5番に座る川口友翠。中学時代には全国の舞台を経験している川口だが、思い切りの良いバッティングが目立つ。旧チームでは捕手だったが、新チームから負担を減らすため、足の速さと肩の強さも考えて外野手へ。
オープンスタンスから、すり足に近いタイミングの取り方で軸足にタメを作る。トップはあまり引かないが、ピッチャー方向にバットのヘッドを入れて、バットを走らせる距離を作り、シャープなスイングでボールを捉えて打球を飛ばしていく。
その川口の一打から試合が動いていった。
初回、稚内大谷の先発・荒木 滉大から一死満塁のチャンスを作ったところで、打席には5番・川口。初球の高めのボールを捉えると、打球は両翼98メートルある[stadium]円山球場[/stadium]のレフトスタンドに飛び込む満塁ホームラン。
これで先制した札幌第一は、「あれでチームに勢いが出ました」と菊池雄人監督が語るように、試合が札幌第一ペースで進んでいく。
札幌第一先発・堀川怜央
3回には先頭で回ってきた川口のヒットからチャンスを作り、8番・堀川怜央のタイムリーで5対0とした。
5点のリードをもらった札幌第一先発・堀川は3回に稚内大谷9番・熊谷 壱世に初ヒットを許すと、4回には2番・平井洸太のヒットから二死三塁のピンチを招く。しかし、ここは4番・久米谷心を三振に取って切り抜けると、直後の攻撃で4番・伊藤ら4本のタイムリーで10対0とした札幌第一。
最後は2番手でマウンドに上がった田中佑弥が試合を締めてゲームセット。10対0の5回コールドで札幌第一が稚内大谷を下した。
札幌第一の先発した堀川は、中学3年生の時に関東一・市川祐や智弁学園・山下陽輔らとともにMCYSA全米選手権大会に日本代表に選ばれた実力者。ノーワインドアップから足をしっかりと上げてから少し間を作ってから、ゆっくりと重心移動していく。
右腕を引き上げるようにテイクバックを獲ってトップを作ると、肘をしっかりと前へ送り出して最後に力強く腕を振り抜く。肩の柔軟性もあり、投げ終わりのバランスも良いフォームが特徴的だ。
球速は最速135キロ前後とのことだが、そこに加えて鋭く変化するスライダーに左打者に時折見せるチェンジアップの組み合わせで打者を翻弄する本格派投手。試合後に話を聞いたが、本人の中では球速以上に、ボールのキレ味を重視している。
「140キロ見える135キロのストレートといいますか、スピードガン以上に速く見えるストレートを投げられるように心がけています」
数字では測れないストレートがあるからこそ、変化球が活きているのではないだろうか。次回以降の投球が非常に楽しみだ。
一方で敗れた稚内大谷。試合前のシートノックを見ていると、内野手はゴロに対する捕球に入り方をはじめきっちりと基本を固めているのが印象的なチームだった。しかし試合中にもあった野手間のフライがポテンヒットになるなど連携の部分は今後取り組んでいく課題となるのではないだろうか。
「今大会ではチームとして繋ぐ野球ができませんでした。そこを課題にしてやっていきたいと思います」と平井主将は今後の課題を明言した。春は堅守、そして繋ぐ野球・稚内大谷となって北海道を勝ち上がることを楽しみにしたい。
(取材=田中 裕毅)