試合レポート

錦城学園vs立教池袋

2019.10.16

3点リードを一旦は追いつかれるも、錦城学園が中盤突き放して逃げ切る

錦城学園vs立教池袋 | 高校野球ドットコム
4回に3失点したものの、他は0に抑えた錦城学園・石川君

 先週末の土曜日に、かつてないほどの大型台風に襲われた関東地方。予定されていた試合は2日間すべて中止となり、いきなり大幅に日程変更を余儀なくされた。この日は当初は13日で駒澤球場で予定していた試合が、第1試合に組み込まれた。

 初回、錦城学園は無安打で2点を奪う。先頭の伊藤君が四球で出塁すると、暴投で二塁へ進み、村木君のバントが失策を招いて一三塁。ここで重盗を仕掛けるとこれが見事に決まって、三塁から伊藤君が先制のホームイン。なおもバントで一死三塁とすると、4番石田君は中犠飛を放って2点目。立教池袋の先発吉川君がやや不安定なところを巧みについた先制だった。

 錦城学園は2回にも一死から死球の榎木君が盗塁と内野ゴロで三塁まで進むと、9番石川君が左前へ初安打してこれが3点目の適時打となった。
 こうして錦城学園が主導する形で試合は進んだが、立教池袋も反撃する。

 4回、立教池袋は佐野君、橋本君と4番、5番が連打すると、奥平君のバントが内野安打となり満塁。一死から川辺君が右前へ落して1点を返した。なおも満塁の好機は続いて、二死満塁から1番清野君が三遊間をゴロで破って2者を帰して同点。試合はまったくわからなくなった。
 次の1点がどういう形で入って、試合の流れに影響を及ぼしていくのかなという感じになった。そんな5回、錦城学園は二死走者なしから、2番村木君が内側に入ってきたボールを思い切りよく叩いて右翼席へソロ本塁打を打ち込んで再びリードする。

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5回にソロホーマーを放ち再び突き放した錦城学園、村木君を歓喜で迎える

 さらに錦城学園は6回にも、石田君が左前打で出るとバントで進めて、6番加藤君の中前打で帰す。こうして、追いつかれても、またすぐに突き放していく勝負強さも示していった。石川君も、安打は打たれながらも、大きく乱れることはなく、持ち味のスライダーも程よく決まっていた。

 決定的になったのは8回だった。この回、立教池袋の吉川君が制球を乱して5四死球で2つの押出に暴投もあって、錦城学園はバント失敗があったにもかかわらず無安打で3点を貰った形となった。錦城学園は、9回にも2人目となった佐々木健多君から、村木君の二塁打などでチャンスを作り、一死三塁からエンドランを仕掛けて追加点を奪った。
 玉木信雄監督は、「基本的には打てないチームなので、何とか点を取っていくという形を作っているのですが、そういう意味では取りたかった形で得点が取れた」と喜んでいた。

 錦城学園は今回の台風で荒川河川敷のグラウンドは完全水没で防球ネットもマシンも、草刈機も、ほとんど使えない状態になってしまったという。「来年、春までを目安にグラウンド修復が出来ればいいかなと長い目で見ています」と、玉木監督は今季のグラウンド使用に関しては諦めているという。それでも、「どこかを探してやっていかないといけません」というのが本音であろう。

 中盤に一旦追いつきながらも、突き放された立教池袋の古賀賢之監督は、「よかったのは4回だけでしたね。ただ、(投手が)あれだけ投球が乱れてしまってはどうしようもありません。ノーヒットで5点を与えてしまっていてはねぇ。相手がバット振っていなくても点を与えちゃっていますから……」と、呆れ気味だった。それでも、「現状のよくないところが出てしまった試合だったので、これを受け止めてやっていかなくてはいけない」と、再度チーム作りへの意欲を示していた。

(文=手束 仁)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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