鹿児島実vs樟南
死闘4時間、決着つかず!
鹿児島実と樟南。鹿児島を代表する宿命のライバルの決勝戦は、夏休み最初の日曜日ということもあってか、球場はほぼフルハウスとなり、注目の高さをうかがわせた。
試合は初回にいきなり動きをみせる。
1回裏、樟南は二死二塁のけん制悪送球で二走・今田塊都(3年)が三塁へ進み、暴投で労せず1点を先制した。鹿児島実は前日の志布志戦で正捕手の井戸田貴也(3年)が死球で欠場しており、背番号9の中村天(3年)が急きょマスクをかぶったが、その影響がなかったとは言えないだろう。
樟南の先発は背番号10の畠中優大(3年)。前日の鹿児島川内戦で延長13回、192球を投げ抜いたエース浜屋将太(3年)の疲労を考慮した山之口和也監督の采配がピタリと的中する。強打の鹿児島実打線を3回まで四球1の無安打に封じた。
序盤は樟南が攻守にリズムをつかんだが、鹿児島実は4回、先頭の2番・佐々木幸大(3年)が四球で出塁し、3番・中村が送って一死二塁で4番・綿屋樹主将(3年)を迎える。カウント2ボール2ストライクと追い込まれながら、センター前に弾き返すタイムリーを放ち、同点に追いついた。
5回以降は互いにゼロ行進となる。
樟南は6回から、浜屋をリリーフに送った。連投の疲れも見せずに15回まで139球を投げ抜き、13奪三振を記録した。
鹿児島実は右アンダースローのエース谷村拓哉(3年)が15回を1人で投げ抜いた。9回から11回までは毎回先頭打者を四死球で出し、12回は1番・今田にセンターオーバー二塁打を打たれ、常にサヨナラのピンチを背負う苦しい展開だったが、決勝点を与えなかった。要注意打者を迎え、一塁が空いているときは必ず敬遠して守りやすい状況を作ることも徹底していた。常に走者を背負う苦しい状況でも、両者守備のミスで崩れることがないのはさすがだった。
15回裏、樟南は二死一二塁と最後のチャンスを作り、代打・宮下剛(3年)がレフト前ヒットを放ち、二走・吉内匠(3年)が三塁コーチャーの静止を振り切ってホームを目指すも、鹿児島実が落ち着いた中継プレーで本塁タッチアウト。試合時間4時間の死闘で決着がつかず、26日に再試合となった。
(文=政 純一郎)
注目記事
・第98回全国高等学校野球選手権大会 特設ページ