試合レポート

市立西宮vs川西北陵

2015.04.07

市立西宮を支える33人のリーダー

2打席連続適時打を放った中島寛登(市立西宮)

 初回に3番・坂上宙(2年)の犠牲フライで先制すると、3回には下位打線で作ったチャンスに2番・中島寛登(2年)がタイムリー。
幸先良く先手を取った市立西宮だが3回裏には、先発・荒木大悟(2年)が先頭打者にフォアボールを与え、ショートがゲッツーを焦ってポロリ。被安打わずかに1で迎えた一死満塁の大ピンチに川西北陵の4番・中西佑太(3年)に2点タイムリーを浴び同点とされる。
なおも一死二、三塁で前進守備を敷くが5番・藪井翼(3年)の打球は高く弾んだファーストゴロとなりこの間に逆転を許す。

 1点ビハインドで迎えた5回、先発投手の荒木から始まる攻撃で吉田監督が動く。
「流れが向こうに行っていたんで、打破出来る切り札を早めに」代打・沼幹太(2年)が期待に応えてライト前ヒットで出塁すると、9番・村岡拓真(3年)のバントで代走・端山響(3年)が得点圏に進む。
代打と代走の切り札を中盤で投入すると二死後、中島が2打席連続のタイムリーを放ち試合を振り出しに戻した。

 リリーフした羽間大起(3年)が3イニング続けて川西北陵のスコアボードに0を並べると、8回に打線がつながる。
一死二、三塁のチャンスを作ると4番・富田淳也(3年)の2点タイムリーツーベースで勝ち越しに成功。この後、酒井将之(2年)、田中翔(2年)の連打でさらに1点を加えた。

 序盤は川西北陵の先発・東山雅哉(2年)のカーブにタイミングが合わず、バントを多用する手堅い采配が目立っていたが吉田監督は「今は勢いあるのでビッグイニング作れる集中力があります」と打撃力に自信を持つ。

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好リリーフの羽間大起(市立西宮)

 そして、ケガのためベンチ入りメンバーから外れた金子稜(3年)も全く同じ思いでスタンドから声援を送っていた。
「序盤は突っ込んでたんですけど、あの回はしっかり自分のポイントで打ててました。集中力がすごい」
金子は普段、練習では打撃リーダーを務める。
以前はチャンスで全く打てず、特に変化球の打ち方が悪かったという。チーム全体の打撃力アップを図り、しっかり自分の形で打つようにと冬にバットを振った成果が終盤の3連打という形になって現れた。

 市立西宮が採用したリーダー制は1人1人に責任を持たせるためのもので部員全員が何らかのリーダーになっている。
5回に同点のホームを踏んだ端山が走塁リーダーで、他にも外野守備のリーダーやメンタル面のリーダーなど役割が細分化されており、野球以外の部分でも整頓リーダー、食事リーダーなどもいる。

 選手30人、マネージャー3人が在籍する市立西宮野球部には33人のリーダーがいることになる。このリーダー制は去年の春季大会敗退後、吉田監督の発案で始まったもの。
丸1年経過して「自分もチームの一員やと自覚してチームのために出来ることはないかと探すようになった。それが思い切ってプレー出来ることにつながっていく」と成果を感じている。

 打線の力で3点を勝ち越した後は、羽間が8回と9回どちらもランナーを背負うが無失点に抑え、逃げ切りに成功、県大会出場を決めた。
1回戦(試合レポート)は機動力を生かして西宮南にコールド勝ち、2回戦は1対0の接戦を制し尼崎小田を破り、準決勝では12安打6得点と攻め立てた。
「1試合でも多く公式戦を経験して、自信をつけて夏に臨みたいですね」33人のリーダーで構成された市立西宮が夏へ向けてさらなる成長を誓う。

(文=小中翔太

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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