試合レポート

東海大菅生vs国士舘

2021.07.16

名門対決。東海大菅生が自慢の機動力で国士舘を撃破し、初戦突破

 東海大菅生vs国士舘の対決。3週間前、東海大菅生の若林監督、選手はいかに普段通りの力を発揮できるか、2戦行って勢いに乗っている国士舘に受け身にならずに試合運びができるかを語っていた。東海大菅生はどんどん仕掛けていく。

 東海大菅生の先発は本田峻也。6月に行われた二松学舎大附戦では、高校初の完封勝利。徐々に調子を挙げていた。立ち上がりも常時135キロ前後の速球、125キロ前後のカット系のスライダーを投げ分け、1回を無失点に抑える。

 1回裏には千田光一郎の中前安打。そしてバッテリーミスから一気に三塁へ到達し、一死一、三塁から内野ゴロの間に1点を先制し、さらに5番岩井大和の左前適時打で2点を先制。走塁を徹底的に鍛える東海大菅生。まさに抜かりのない攻撃だった。2回表には二死二塁から1番千田が右前適時打。国士舘はところどころでバタつきが見られ、それを東海大菅生は逃さず、次々と先の塁へ進塁していく。

 しかし国士舘も3回表、3番・清水武蔵がフルカウントから2点二塁打を放ち、3対2と序盤から慌ただしい試合展開となる。

 ただ、ここから両チームの投手が好投。エースの本田は4回のピンチを抑えると、速球、カットボールをテンポ良く投げ分けて、0を積み重ねる。国士舘の先発・野村颯は真っ向から振り下ろすストレートは常時130キロ中盤(最速135キロ)。春の大会からそれほど球速は変わっていないのだが、明らかに回転数がまし、コントロールも良くなっている。腕を振ってコーナーに投げられるようになったことが大きい。また、内野守備も盛りたて、二塁・小泉拓己の好守備もあり、リズムも良くなり、3回以降、無得点に抑える。


 国士舘・小泉の好守備に、若林監督は「3回、4回と立て続けにセカンドの好守備もありましたから、嫌な雰囲気でしたね」と敵将も嫌がるほどのスーパープレーだった。若林監督としては3点目以上を与えたところで本田を交代させる予定だった。本田は見事に7回2失点に抑え、降板。「この暑さだと9回まで持たないと考えていました、点数をつければ、60点ぐらいの投球ですが、7回まで投げられたことは良かったと思います」とエースの力投を評価。
追加点を入れたい東海大菅生は8回裏、一死一、二塁の場面で、本橋空南太が左前安打。やや浅めの当たりだったが、三塁コーチャーは躊躇なく腕を回し、二塁走者の福原聖矢は見事に生還。
 福原の俊足と国士舘の外野陣の送球の強さなど判断したものだった。狙いがしっかりとした走塁だった。

 本田は7回まで2失点に抑え、8回は左腕の松永大輝が無失点の好投を見せ、9回はクローザー役の千田光一郎が登板。千田は最速136キロをマークした力強い速球を武器に押していき、二死二塁のピンチを招いたが、最後の打者は鋭いライトへのフライが飛んだが、ライトが見事に好補。東海大菅生国士舘との激闘を制し、4回戦進出を決めた。

 若林監督は「なんとか勝ててよかったです。初戦なので難しい試合展開になると思っていましたし、最終的にはうちが1点が多ければいいと思っていました」と内容問わずまず勝つことを重点においていた。

エースの本田は「内容的には反省点が多く、フォームもバラバラで、次の試合まで修正しないといけない点が多いです」と反省のコメント。まだ完璧のストレートの質、フォームといかなくても、最低限の投球ができるところに非凡さを感じさせる。

 大会初戦を終えた東海大菅生の選手たちが4回戦以降、本来の実力を発揮できるか注目をしていきたい。

 国士舘は春先と比べても投手力、守備力が格段にレベルアップしていた。球際の粘り強さは春の国士舘では考えられなかった。改めて3回戦で当たるのはもったいない。そう思わせるほど強くなっていた。

(取材=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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