試合レポート

享栄vs大成

2019.07.14

シード校の享栄が完全継投の5回コールド勝ちで進撃

 中京大中京で2009年に全国制覇を果たし、10年に勇退してU-18のヘッドコーチなどを務めていた大藤敏行監督が、昨夏の大会後に享栄の監督に就任。秋季大会と春季大会を経て、享栄監督として初の夏の選手権に挑んだということでも注目された試合。
 「久しぶりの夏の大会で、采配もさることながら、やっぱり緊張しました。ノックも、最初の一本目がねぇ」と言うように、百戦錬磨の大藤監督をして、新天地での最初の夏の大会はやはりプレッシャーがかかるようだ。甲子園でも何十回もシートノックをしてきた大藤監督だが、最初の三塁へのノックがふわりとハーフライナーになってしまった。それくらいに、やはり夏の大会の初戦は緊張するということだろう。

 それでも、「この1勝という感慨は特にない。大会が始まってしまえば、優勝せん限りは、どこで負けても一緒だでねぇ」と言いつつも、代表選手を預かる日本代表と違って、「毎日一緒にやってきている自分のとこの子たちと、『よし行こう』という気持ちでやっていく試合は違います。去年の秋から、やっているうちに自分の試合勘も戻っては来たかなぁとは思う」と、新たに「KYOEI」のユニフォームを身にまとっての采配も、「最初は(ユニフォームを着るのにも)時間がかかった」けれども、もうすっかり自分のチームのものとして馴染んでいるという。
 そして、享栄のユニフォーム自体も、この夏から左袖口のマークがカラーになって、マイナーチェンジしている。まさに、この大会はニュー享栄の船出ででもあるのだ。

 シード校としてこの3回戦が初戦となる享栄だったが、尾張地区の中堅私学としての位置づけでもある大成に対して、左腕上田君と濱田君の2年生の継投で、5回参考記録ながら一人の走者も出さないパーフェクトリレー。

 打線も、初回こそ四死球で貰った好機を併殺で潰してしまったものの、2回には5番三島安貴君、1年生の彦坂君の連続三塁打で先制。
 そして3回には打線爆発。一死から2番田口君が右中間三塁打で出ると、野選で追加点を挙げる。さらに連続四球と失策絡みで追加点。そして、大成の先発した近藤聖君が退くと、2人目の豊場君に対して8番近藤大智君と9番上田君が連続安打し、この回2度目の打席の田口君も内野安打でこの回都合13人で7点を奪った。

 さらに4回も7番河田君の左翼線二塁打や代打坂君のタイムリー2度で追加点を挙げて10点目が入った。
 前日は、ベンチ入りメンバー全員で4回戦で当たる可能性のある「東邦星城」の試合を見てきたという享栄。春のセンバツ王者の東邦が敗退したのを見て、大藤監督は改めて、「夏は、本当に一つひとつのやれることをきちんとやっておかないといけない」ということも再認識したという。

 この日の初戦に関しては、「やってきたことが、ある程度は出来ていたのじゃないかな」ということで、トータルでは80点くらいという評価だった。もちろん、合格点である。

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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