済美vs宇和島東
宇和島東「タレント」と「勢い」のその先へ
3番主将・橋本 玲(宇和島東)
二塁送球1.9秒台を誇る四国屈指の強肩捕手・上甲 凌太(3年・右投左打・180センチ70キロ・西予市立宇和中出身)。最速138キロの内田 健太(3年・左投左打・180センチ67キロ・西予市立宇和中出身)と、スタミナ抜群の菊地 来樹(3年・左投右打・178センチ82キロ)との左腕2枚看板。3番主将の橋本 玲(3年・中堅手・左投左打・170センチ66キロ・松山坊っちゃんボーイズ出身)をはじめ、パンチ力に優れる打線。加えてこの試合では県大会から追加登録され、180センチ前後の身長から最速133キロを投じた2年生右腕・村上 裕一郎(2年・八幡浜市立保内中出身)という面白い素材も出現。宇和島東には県内公立校では群を抜くタレントが備わっている。
この春はそんなタレントたちが躍動し、準々決勝・今治西戦での逆転勝ち含め南予地区予選・県大会での3試合で26得点2失点と圧倒的な打力・投手力を発揮した彼ら。9回表に今大会初のリリーフ登板となった内田が振るわず一気に突き放された準決勝でも、6回裏には7番・藤堂 定成(3年・一塁手・右投左打・170センチ66キロ・宇和島市立城南中出身)の右中間三塁打、8番・薬師寺 正竜(3年・三塁手・右投左打・168センチ75キロ・宇和島市立吉田中出身)の左前適時打で1点を返すなど、勢いの一端は見せた。
試合後、宇和島東・若藤 太監督は言う。「試合前半のバント失敗や犠飛や併殺崩れで取れると思っていた8回裏の無死満塁で無得点に終わったのが痛かった」。勢いと表裏一体になる「粗さ」。「試合前日に無死満塁での攻防練習をしていた」(中矢 太監督)済美との準備の差が、この試合では浮き彫りになった格好。この敗戦により夏の愛媛大会ではノーシードスタートが確定したものの、宇和島東の側から見れば敗戦の中で課題ははっきりとしている。
ということは、他にはないタレントをベースに、勢いを制御できるようになれば……。8年ぶり9回目の夏甲子園は十分手の届くところにあるはずだ。
(文=寺下 友徳)