試合レポート

都立高島vs郁文館

2017.10.18

都立高島、攻めの守りで郁文館に競り勝つ

都立高島vs郁文館 | 高校野球ドットコム

高橋涼(都立高島)

 都立高島郁文館の試合は、両チーム力の差はそれほどなかったが、都立高島は攻めの姿勢の守備で流れを引き寄せた。

 1回表郁文館の攻撃で、試合の流れを決定づけたプレーが出る。郁文館の1番・吉田響輝が死球で出塁すると、2番・近藤舜介が右中間に痛烈なライナー。これを都立高島の右翼手・米山朋樹がダイビングキャッチ。一塁走者も飛び出しており、失点のピンチを一気に切り抜けた。

 外野手が打球に飛び込んで捕球することは、捕球できなかった場合、傷口を大きく広げるリスクを伴う。それでも都立高島の島修司監督は「ここまで守備の練習ばかりやってきました。打球に飛びつき、ランナーは刺しに行く守備でも攻めろと言っています」と言う。リスクは覚悟の上の、攻撃的な守備が、郁文館の攻撃の芽を摘み、都立高島に流れを持ってきた。

 都立高島の攻撃の核は、主将でもある1番打者の大沼輝だ。大沼は1回表中前安打で出塁すると、2番・岩佐直樹の犠打は野選となり無死一、二塁。その後は内野ゴロ2つで大沼は先制のホームイン。岩佐も5番の戸部祥真の中前適時打で生還する。

 都立高島の先発・高橋涼は、1年生ながら落ち着いた投球で、ピンチを招いても、危なげのない投球をする。5回表には安打と四球の走者を出し、6回表もこの回先頭の郁文館の2番・近藤舜介に二塁打を打たれ、ピンチを迎えるが、犠打の他はフライ2つに抑え、得点を与えない。

 郁文館の先発・関智也も2回以降はテンポのいい、安定した投球を続け、5回裏に都立高島のバント攻撃に内野の守備が乱れ、1点を追加された以外は得点を与えない。

 都立高島の高橋に抑えられていた郁文館打線であるが、7回表、都立高島の守備の乱れに乗じて反撃する。この回先頭の6番・近藤賢太郎は左前安打。続く竹村侑翔の二ゴロで走者は入れ替わったが、竹村は二盗。8番・関は四球で一、二塁とし、9番・飯高皓大の左飛の後、返球に乱れがあり、一、三塁。一塁走者・関も二盗する。1番・吉田は遊ゴロに倒れたが、一塁送球が暴投になり、2人が生還。1点差に迫った。

 さらに郁文館は8回表も二死後、四球が2つ続き、同点のチャンスを得る。ここで都立高島は高橋に代えて、平井幹太を投入する。

「平井は最初から準備をしていました。球数が100球を越えて、キレがなくなってきました。キャッチャーがダメですとゼスチャーしてきたので代えました」と都立高島の島監督は言う。島監督の捕手・後藤満への信頼は厚く、交代のタイミングは、直接球を受けている後藤の判断を尊重している。

 その判断通り、平井が好投。郁文館打線にさらなる反撃を許さず、3対2で都立高島が逃げ切った。都立高島はこれで3回戦進出が決定。次は私立の強豪である佼成学園と対戦する。佼成学園とは練習試合で敗れているそうだが、都立の強豪としては負けられない一戦である。

 敗れた郁文館であるが、関投手を中心に、力のあるところはみせた。しかしこの試合で安打は4本。そのうち2番の近藤舜が2本打っており、他の打者の奮起が求められる。

(文=大島 裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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