試合レポート

東海大菅生vs修徳

2016.04.10

今年はチーム力で勝負!東海大菅生が4本塁打12得点で圧勝!

東海大菅生vs修徳 | 高校野球ドットコム

本塁打を放った伊藤壮太(東海大菅生)

  「今年は勝俣翔貴江藤 勇治のような選手はいない分、チーム力で勝負していかなければならないチームだと思います」

 そう、東海大菅生の若林監督は語るが、指揮官が求められるレベルが高いだけ、それに追いつこう、甲子園出場を標準に置いているチームなので、やはり個々の選手の能力の高さは東京都のチームでも頭一つ抜けている。

 まず1回表、一死一、二塁の場面から先制となる適時打を放った深澤祐太(3年)は180センチ72キロの恵まれた体格をした選手。どっしりとした構えから、レベルスイングを心掛け、強い打球を飛ばすことができる打者だ。

 さらに前年から出場をしていて、投打ともに能力が高い伊藤壮太(3年)の遊撃内野安打でさらに1点を追加。さらに一死満塁から先発の小玉が中前適時打を放ち2点を追加し、4対0とする。そして2回表には4番深澤の犠飛で1点を追加し、5番伊藤がレフトスタンドへ飛び込む本塁打。
去年の伊藤は勝負強く、どちらかというと上手いイメージがあった。現在は177センチ73キロだが、数字以上に体付きがだいぶ逞しくなったと感じる。そして鋭い打球が飛ばせるようになってきた。守備も安定している選手であり、投手としても140キロ近い速球を投げる。だが適正は完全に野手。今後は野手としてどれほどの活躍を見せるのか、注目したい選手だった。

 そして6回表、4番深澤がレフトスタンドへ飛び込む本塁打。力みがなく、綺麗に打球を飛ばすことができていて、なかなか楽しみなスラッガーである。
深澤に続いて5番伊藤がストレートを軽く振ったかのように見えたが、左中間に飛び込む本塁打。両翼91メートル、中堅116メートルの狭い神宮第二を差し引かなければならないが、広い球場でも間違いなく左中間深くへ飛んでいる当たりだろう。間違いなくこの1年でスケールアップを果たしている。この2本を振り返って、「1本目は大きいのを狙っていましたが、2本目は入っていました」と振り返ったが、軽く振ったような当たりでも飛ぶようになっており、間違いなくレベルアップを果たしている。


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淵上大聖(修徳)

 投げては小玉佳吾(2年)が好投。180センチ77キロ、右投げ右打ちの大型右腕だが、真っ向から振り下ろすストレートは、常時120キロ~130キロ中盤で最速136キロを計測。

小玉は球速表示以上に見栄えするストレートなのが魅力だ。
「横から見ると、速くは見えないのですが、後ろから見るとぐっと伸びてくるのが分かると思います」と若林監督が評するように、確かにストレートは手元でぐっと伸びてくると、ボールの質が良いので、高めで勝負ができる。このまま、ストレートが140キロ台まで伸びてくれば、もっと見栄えする存在になりそう。さらにスライダー、カーブ、チェンジアップをテンポよく投げ分けることができていて、まとまりがあった。小玉は先発として投げるの初めてのようで、5回無安打に抑えたことで降板。
 「気持ち良いイメージを残すためですね。6回も投げて、失点して降板というのは投手からすれば気持ちの良い終わり方ではないんですよ。試合展開に関わらず、5回まで決めていました」と目的の5回を投げ切った事に若林監督は、「これで目処が立ったわけではないけど、伊藤だけでは勝ち切れないので、経験を積めたことは大きいですね」と小玉の好投を評価していた。ゲーム能力が長けた投手であった。

 6回裏から、伊藤がリリーフで登板。テイクバック小さめで、打者方向に向かって正対するスリークォーター。ストレートの球速は常時135キロ~140キロを計測。コンスタントに140キロを計測しており、135キロ前後ぐらいだった昨年よりも馬力が上がっているのが実感できる。120キロ前後のスライダー、110キロ前後のチェンジアップとどれも昨年よりもレベルアップを果たしており、投打両面で、着実に成長を果たしている。

 そして7回表にも杉本蓮の本塁打で3点を追加し、東海大菅生が12対0で圧勝した。
試合を振り返って若林監督は、「大会前までは不安ばかりでしたけど、出ている選手のポジションを入れ替え等を行ってきて、形になってきました」と手ごたえを感じていた。今年は昨年ほどではないというが、東京都の各校の選手たちと比べても選手の技量、野球の精度、リズムの良さというのは頭一つ抜けており、全国を意識できるレベルにあるといえるだろう。

 若林監督曰く新1年生の選手たちの力量も高く、さらにベンチ入り20人の選出へ向けて、厳しい競争になりそうだ。
 修徳は、まさかのコールド負け。渕上聖司(3年)が好プレ―を見せていたが、東海大菅生投手陣にノーヒットで抑え込まれる試合展開となった。シードは確定しているだけに、改めて投打を見直す上では大きなゲーム内容だったかもしれない。

(取材・写真=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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