試合レポート

昌平vs上尾

2011.09.25

昌平vs上尾 | 高校野球ドットコム

廣橋(昌平)

一年生の明暗

 両チーム要所に1年生を据えているが、この試合その1年生の結果に明暗が分かれた。

初回、上尾昌平の先発・廣橋に対し、先頭の大南がセンター前ヒットで出塁するが続く1年生・芦埜が送れない。明らかに硬さが目立ち、送れず三振に終わる。3番・小山の打球もサードライナーで併殺となり結局この回3人で終わる。これは後々考えると大きいプレーとなってしまった。

一方の上尾の先発・菊池はスリークウォーター気味の投球からのストレートは目測だがMAXでも130km前半ぐらいであり、スライダーをに時折チェンジアップも混ぜるなど変化球を中心に組み立てていた。初回はうまく立ち上がったが、2,3回で早くも捕まりかける。

2回裏、1死からこの日体調不良の野本に代わり5番に入った中條がセンター前ヒットで出塁すると、続く廣橋とのエンドランが左中間への2塁打となり1死2,3塁とチャンスが広がる。

だが、この際3塁へ行った中條が足を負傷し主将の佐藤(成)と交代すると、さらに、続く岡田の所で行ったスリーバントスクイズは見事に外され併殺となり一瞬でチャンスが潰れ、昌平ベンチに嫌な雰囲気が漂う。

それでも先制したのは昌平だった。3回裏、この回先頭の1年生・上野がレフト線への2塁打で出塁すると、同じく1年生・虻川がきっちりと送り1死3塁とする。ここで1番・岩立がセンター前タイムリーを打ち昌平が先制する。さらに1年生・黒澤が送ると2死2塁で山村、正木の3,4番に連続ヒットが飛び出し2点目を奪う。


昌平vs上尾 | 高校野球ドットコム

田中(上尾)

 一方の上尾も4回表、2死2塁で5番・1年生の早川がセンター前へヒットを打つが、センターが浅く2塁走者は3塁でストップする。だが、ここで打者走者の早川が2塁を欲張りアウトになってしまう。

その後上尾打線は徐々に廣橋に慣れ単発ではあるがヒットが飛び出しランナーを得点圏に進めるが一本が出ず完封負けを喫し、4回以降立ち直った菊池を見殺しにしてしまった。

まずは上尾についてだが、如何せん経験不足は否めない。レギュラーの6人が1年生とフレッシュなチームに生まれ変わっておりまだまだこれからのチームだ。それでも、期待の1年生は随所にその才能を発揮した。山口、清水の二遊間コンビも機動力があり完成度の高さを感じたが、特に注目なのはキャッチャーの田中だ。この日は皮肉にも最後の打者になってしまったが、彼の恵まれた体格と強肩に非常に可能性を感じる。バッティングに関してはまだ改善の余地はありそうだが、最終学年となった時にどこまで伸びているか楽しみな存在だ。

一方の昌平だがまさに廣橋に尽きる。この日の悪天候や攻撃面でのまずい攻めなど失いそうな流れを廣橋自身が自らのピッチングで持ってきていた。

「今はまだかわすピッチングをするなと言われているのでストレートとスライダーだけです。落ちるボールなどはこの冬以降で。今日は少し球数が多くなってしまったので今後のことも考えて(球数を)もう少し少なくしなければ」
と完封勝利に浮かれる様子もなく既に先を見越している。彼が今年の埼玉で3本の指に入る左腕であることをこの日改めて実証してみせた。

(文=南 英博)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.24

【関東】25日に準決勝、2戦6発の帝京の打棒が響き渡るか<春季地区大会>

2024.05.24

【岩手】25日に準決勝、6大会連続V狙う花巻東に、創部初4強の水沢商が挑む<春季県大会>

2024.05.25

【宮崎】日章学園、宮崎北、宮崎商が県大会へ、出場校が出揃う<県選手権大会地区予選>

2024.05.24

春季近畿大会注目選手17人! 智辯和歌山の大型右腕、大阪学院大高の全国トップレベル遊撃手、天理のスラッガーコンビら逸材がこぞって出場!

2024.05.25

【長崎】長崎北、長崎日大、創成館などが勝利<NHK杯地区予選>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ出場の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【岩手】盛岡中央、釜石、水沢が初戦を突破<春季地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商