八百板、今川など陰日向で伸びてきた苦労人の96年世代
高校時代の八百板卓丸(聖光学院出身)、社会人時代の今川優馬(東海大四出身)
直近のプロ野球で印象的な活躍が目立つのが96年世代である。2014年選抜、夏の甲子園、あるいは地方大会を盛り上げた逸材たちが最近、活躍を見せているのだ。
まず感動的だったのが、北海道日本ハム・今川優馬(東海大四出身)のプロ初安打が本塁打になったこと。今川は高校時代、控え選手。プロ入りに至るまで、苦労を重ねたこと。さらに常に全力疾走を心がけ、先輩・後輩問わず、リスペクトする姿勢に感動したファンも多く、SNSでは「今川くん」としてトレンド入していた。
苦労人ということで、巨人・八百板卓丸(聖光学院出身)も挙げたい。東北楽天から育成選手としてプロ入り。支配下登録選手となったものの、19年に戦力外通告。同年に巨人の育成枠として入団し、今年の1月に支配下登録選手となった。
そして15日の横浜DeNA戦で、プロ初打点を挙げ、巨人での初得点がサヨナラホーム。八百板の俊足がなければ勝利はなかったというぐらい素晴らしい走塁だった。八百板といえば努力で這い上がったプレイヤー。聖光学院時代は2年秋までレギュラーではなかった。ただ斎藤監督は、トレーニング数値の測定で劇的にパフォーマンスが伸びている八百板を見逃さなかった。
斎藤監督は「私は聞いたんです。『なんでこんなに変わったの?』と。すると八百板はこう言いました。
『別に特別なことをやったわけではないんです。ただ、暇があったらバットを欠かさず振ってきました。素振りだけはずっとこだわってやったといえます』
そして2年秋まで公式戦に出場するときは7番ぐらいの選手が、春には1番か3番を打つようになり、チームで一番の選手になるまで成長したんです。私はこのとき確信しました。『こいつはプロへいく選手だ』と」
小島和哉(浦和学院出身)のプロ初完投、岡本和真(智辯学園出身)の2年ぶりの100打点、岸潤一郎、髙橋光成のお立ち台と印象的な活躍があったが、こうした苦労人も活躍を見せる96年世代。キャラが立った選手が多く、この世代の活躍を見るのが非常に楽しみだ。
(記事=河嶋 宗一)