自発的脱水に注意しよう
水分補給は流れ出た汗に含まれるミネラル分もあわせてとることが鉄則
アスリートにとって水分補給はパフォーマンスを支えるために必要不可欠なもの。ただし、適切な水分補給を行わないと、水を飲んだことによって逆に脱水症状を起こすことがあることを知っていますか?これは自発的脱水と呼ばれるものですが、運動中に水分を大量に摂取することによって起こります。
もともと水分をとるのは運動によって流れ出る汗など、身体から排出される水分など補うことがその目的ですが、汗には水分以外にも塩分などのミネラル分を含んでいます。「水分だけではなくミネラル分も一緒にとりましょう」と言われるのは失われたミネラル分も補給する必要があるからです。ところがミネラル分をとらず、水分だけを補給していると次第に身体の体液濃度が低下してしまいます(いわゆる薄くなる状態)。
身体は水分量が多く、ミネラル分が少なくなると、適切な体液濃度を保つために余分な水分を主に尿から排出し、水分摂取を控えるように働きます。こうして身体からは水分が排出されるのに、喉の渇きを覚えることがない状態になり、気づかないうちに脱水が進行してしまうことになります。
こうした自発的脱水を予防するためには、水分とともに塩分などのミネラル分をとるようにすること。逆に塩分ばかりをとりすぎてしまうと、これもまた身体に悪影響を及ぼすことが考えられるので、体液濃度に近いものが理想的です。日本スポーツ協会では運動に際して0.1〜0.2%の食塩と糖質を含んだものを飲むよう勧めています。
一般的なスポーツドリンクにはミネラル分・糖質が含まれており、水分補給に適していますが、一方で飲みやすさを考慮して糖質の割合が多くなっているものがあります。ラベルなどを確認し、どのくらいの塩分や糖分が含まれているのかを理解しておくことも必要です。水分ばかりを大量に飲みすぎると、逆に脱水症状を起こすことがあることを知っておきましょう。
文:西村 典子
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