王者・広島新庄が優勝 広陵、瀬戸内がノーシードに回り、夏は混とんしたものに
広島新庄が横綱野球を展開
シード権を獲得した大竹
平成30年度春季高校野球選手権広島大会は、広島新庄高校の優勝で幕を閉じた。優勝した広島新庄高校、準優勝した西条農業高校の夏選手権予選での健闘を祈りたい。
ただし、この春季大会はまだまだ甲子園への前段階に過ぎない。ここで気を抜いてはいけない。近年、春の優勝校が夏では力を発揮できず、敗退するのもよく見る光景だ。
優勝したからと言ってそれが夏の予選での好成績にはつながらない。そうした部分、安心をせず慢心をせず。好成績は好成績として棚上げし、これから来る暑い暑い夏に備え、スタミナをつけていくことを期待したい。
夏の広島大会のシード権を勝ち取ったのは広島新庄、西条農、如水館、呉港、広、大竹、呉工業、市立呉の八校である。
全体的に見て、今大会は波乱含みでもあった。去年の夏甲子園準優勝で話題をかっさらった広陵高校、選抜で甲子園の土を踏んだ瀬戸内高校などの強豪校がシード権を取れないなど、今年の広島大会は混とんしたものとなりそう。
第一シードを獲得した広島新庄は好投手である堀瑞輝を擁して甲子園でベスト16入りして以来、2年ぶりの甲子園を目指す。
打線も名将迫田守昭監督に鍛えられた強かな冷静さを持ち、県予選でも安定した強さを誇っている。去年こそ悔しい思いをしたものの、巻き返しを誇る強豪校は夏の甲子園を虎視眈々と狙っていることだろう。
広島新庄は、準決勝まで7得点以上、完封勝利が5試合と横綱野球を展開。その広島新庄相手に、唯一善戦と言える結果を残したのが準優勝校の西条農だ。ロースコアの展開をモノにする力には確かなものがあり、広島新庄との決勝戦でもそれは発揮され、強豪校にひるまない芯の強さを見せてくれたように思う。
第二シードには古豪である如水館、市立呉などの呉勢が入った。特に市立呉はエース中田光稀(三年)、二番手沼田仁(二年)などの芯の通った二枚看板がある。一人のエースだけで大会を勝ち抜くことが困難になりつつある近年の高校野球ではこうした二枚看板は実に頼りになるだろう。如水館は甲子園優勝を経験し、全国を見ても指折りの名将である迫田穆成監督が率いる。夏の如水と呼ばれた実力をぜひ県予選でも発揮してほしい所だ。
第三シードにはこれもまた呉の高校である呉工業と県立広、そして去年の県準優勝校である大竹、戦前には甲子園でも優勝した経験のある呉港が入った。
去年ベスト4の大竹は、かつて広島工業を率いた広田利信監督が率いる。甲子園に入った経験もあり、その手腕は確かだ。去年の準優勝も、フロックではなく実力がなせる業である。今年こそはと期待をかける声も多い。
今回、シード権を取ったチームの内、私立は三校、公立は五校だった。こうなったのは偶然か、それとも必然か。
それがわかるのは、球音高らかになる夏を待たなくてはならない。百回記念の今年が今までにない暑い夏になるようにと期待が高まる、平成30年度の春季大会はそう言った大会だった。
(文=編集部)