1月28日に、いよいよ2022年選抜高校野球大会の出場32校が決定する。これまでに数々のドラマを生んできたセンバツ出場校の発表。今年はどんなドラマが待っているのだろうか。

 運命の日を前に、過去のセンバツ出場決定で起こった「サプライズ」を振り返ってみたい。

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2009年(平21)第81回大会


 もしあのとき、あの左腕が甲子園に出場していなかったら、今の彼はあったのだろうか…。「もしも」は禁句かもしれないが、そう思ってしまう選考が、東北地区で起きた。

 東北枠は2枠。前年の東北大会で4強入りしたことが評価されて21世紀枠に選ばれた利府(宮城)をのぞいて選考がスタートした。通常ならば、決勝に進んだ2チームが当確となる流れだが、決勝で光星学院(現八戸学院光星=青森1位)が7対1で一関学院(岩手2位)に大差をつけて優勝を決めたことが事の発端だった。

 一関学院はそれまで守備を重視して選出される希望枠に2度選出されていた。そのチームが東北大会4試合で10失策を犯していたことで、さらに印象が悪くなる。決勝進出2チーム以外の選考対象で、対抗馬として名前が挙がったのが花巻東(岩手1位)だった。

 1年夏から甲子園デビューし145キロを計測して注目を浴びていた菊池 雄星投手が君臨していた。この年の春の東北大会では149キロをマーク。秋の県大会で優勝を果たしセンバツを狙って東北大会に挑むも、準決勝で優勝した光星学院に3対6で敗れていた。決勝進出は逃したが、優勝したチームとは互角の戦いを演じていた。投手力が安定しているチームが好まれる傾向と、岩手県決勝で花巻東が9対2で一関学院を下していることが決め手にもなった。結果は、準優勝の一関学院を逆転する形で花巻東が東北2枠目として選考されたのだった。

 センバツ初出場となった花巻東は快進撃を見せる。鵡川(北海道)、明豊(大分)、南陽工(山口)、利府(宮城)を破って、岩手県勢初となる決勝に進出した。のちに広島に入団する今村 猛投手擁する清峰(長崎)に0対1で敗れたが、実力は優勝チーム同等であることを証明してみせた。菊池は初戦で152キロをマーク。9回1死まで無安打の快投を演じて完封勝利を挙げると、2回戦も完封して2戦連続完封勝利を挙げ、全国にその名をとどろかせた。「逆転選考」がなければこの快進撃もなかった。のちに西武、メジャーで活躍する左腕の「原点」にもならなかったかもしれない。

 悔しい思いをした一関学院は、春季岩手大会でも決勝で花巻東に完封負け。夏はまさかの初戦敗退となってしまった。花巻東は夏も甲子園に進んでベスト4に進出。菊池はプロのスカウトのスピードガンで155キロを計測するほどに成長したのだった。

 この年の花巻東の準優勝はセンバツでの岩手県勢最高成績となっている。2012年には大谷 翔平(現エンゼルス)を擁して出場。そして今年は1年生スラッガー佐々木中心に飛躍の年を迎える。2009年は花巻東の伝統がスタートした年でもあった。