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「甲子園でできなくても、試合はやらせてあげたい」 選手たちの未来を考えた、東海大札幌の指導方針

2020.05.03

「甲子園でできなくても、試合はやらせてあげたい」 選手たちの未来を考えた、東海大札幌の指導方針 | 高校野球ドットコム
東海大札幌の練習風景 ※写真は2019年2月から

 昨年のドラフトで福岡ソフトバンクに進んだ小林珠維、そして今秋のドラフトで注目される社会人スラッガー・今川優馬などを輩出する東海大札幌。昨秋も8強に進んだ強豪だが、4月12日から活動自粛を余儀なくされているのが現実。予定では5月10日まで自粛となっているが、今後延長となる可能性は十分にある。先が見えない日々に、「再開をした時にどこからやればいいのか」と悩まれていたのが監督の大脇英徳氏だ。

 道内の選手は自宅待機をさせているが、道外から来ている15名の選手たちは実家に戻した方が感染する恐れがあると判断して寮生活を継続している。ただ、出来るだけ外出を禁じるなどいくつかのルールを設けながら寮生を管理している。出来ることが限られるが、夏の大会に向けて準備は進めている。その一環がLINEを通じての戦術確認だ。

 「シチュエーション毎に考えられる戦術など、頭の鍛える課題を出しまして選手たちには考えさせています。あとは選手それぞれに検温をしてもらって、マネージャーが選手全員の結果をコーチに報告してもらっています」

 健康にも気を配りながらコミュニケーションを取っているが、「物足りないですが、今できることはこれくらいかな」と大脇監督は感じている。気持ちをケアしながら、夏の大会があることを信じて練習を重ねていく東海大札幌。今後もSNSなどを駆使して出来ることがあれば実践していく姿勢を示したが、大脇監督は同時に3年生に対しては進路も少しずつ話し合うようにしている。

 「LINEを通じてですが、とにかく高校を卒業しても野球に携わってくれるような指導をしたいと思っているんです。例えば、春の大会でベンチに入れるような実力を持った選手が、夏の大会で外されてしまう可能性もあると思うんです。最後の大会でベンチに入れるかどうかって、今後の人生が変わると思うんです。
 また野球を通して、もっと吸収出来ることや、人生を学ぶことができると思います。今の高校生が大人になり、子供が生まれた時、『野球っていうのはなっ!』って語れる野球人になって欲しいんです。だから今は声掛けや役割を与えることで、今後も野球に携わってもらえるようなアプローチができればと思っています」

 夏の大会が開催されれば結果を残せるように準備をしつつも、選手たちの将来を見据えた指導をしていく姿勢を見せた大脇監督。その想いの強さは「甲子園でできなくても、試合はやらせてあげたい。メンバー選考をやって、対外試合が出来るようにしたい」という話にも込められていた。

 そんな大脇監督からがベンチ入りのメンバーについて、こんな話が出てきた。
 「3月からほとんどの学校が練習できていない分、怪我人が出やすいと思うんです。また試合もスピーディーにできるようにするために、ベンチ入りの人数を増やしてもいいんじゃないかと思うんです。そうやってベンチに入って戦うことが、選手たちの今後に大きな影響を与えてくれると思うんです」

 本来であれば東海大札幌はこの時期、青森へ遠征に行っているとのこと。「そのことを考えると精神的にキツイ」と選手だけではなく指導者にも、今回の自粛は確かにダメージを与えている事態だ。

 しかし大脇監督が最後に「さらなる飛躍と言いますが、それをして行かないといけないと思います」と語っていたが、この経験をプラスに捉えられれば必ず今後に活きていくはずだ。出来ることなら、甲子園を開催してほしいが、とにかく練習ができるようになることを願うばかりだ。

(取材=田中 裕毅

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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