AWBで石橋康太が本塁打、中日の正捕手争いに加わることができるか?
関東一時代の石橋康太
台湾で行われているアジア・ウインターリーグ・ベースボール(以下、AWB)で多くの若手選手が躍動している。12月10日に行われたNPBホワイト対CPBL選抜の試合では、「2番・指名打者」で出場した石橋康太(中日)が、特大の本塁打を放った。
このAWBで石橋は前日まで打率.100(20打数2安打)、0本塁打、0打点と苦しんでいた。そのなかでの初本塁打、初打点は本人にとって大きなきっかけとなるだろう。
この日の石橋は指名打者での出場となったが、本来は捕手である。このAWBでなにかを掴み、2020年シーズン以降のレギュラー争いに加わっていくことが期待される。
そんな石橋は2018年ドラフト4位で関東一高から入団した。同期のドラフト1位である根尾昂が注目を受けるなか、石橋は高卒1年目から12試合に出場し、すでに初安打、初打点を記録している。捕手というむずかしいポジションながら、これだけの出場機会を与えられているのは期待の現れだろう。
とはいえ、すぐにレギュラーとなれるほど甘くない。中日の正捕手争いは混沌としている。2019年シーズンの起用を見ると、加藤匠馬(75試合)、木下拓哉(25試合)、大野奨太(14試合)、武山真吾(13試合)、松井雅人(11試合)、桂依央利(2試合)、そして石橋が3試合と7人がスタメンマスクをかぶった。
チーム内で、一軍のスタメンマスクをかぶるレベルの捕手が複数おり、ライバルは多い。違った見方をすると加藤が約半分の試合にスタメン起用されているものの、抜きん出た捕手がいないということでもある。これをポジティブに捉えると、レギュラーまでの距離が近いということだ。
このオフまでに、松井雅人はオリックスへと移籍しており、武山は現役を引退した。しかし、今年のドラフト指名選手の中でも指折りの捕手である郡司裕也(慶応大)が入団してくる。さして石橋の状況は変わらないと言っていいだろう。
中日は谷繁元信の出番が減少した2014年シーズンから、正捕手が固まらず苦労してきた。もちろんそれだけが原因ではないが、チームも2013年シーズンから7年連続Bクラスと低迷中。
このような状況のなか、石橋は正捕手を掴むことができるだろうか。高卒2年目の2020年シーズンにいきなりレギュラーはむずかしくとも、将来ヘ向けた足がかりとする1年になることを期待したい。
<2019年シーズン成績>
石橋康太(中日)
12試合/打率.059(17打数1安打)/0本塁打/2打点
※数字は2019年シーズン終了時点
(記事=勝田 聡)
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