来季は一塁も！ 広島・磯村嘉孝は母校の先輩たちに追いつけるか？

　セ・リーグ4連覇を逃した広島は、緒方孝市前監督に代わって佐々岡真司監督が就任し来シーズンへ向けて動き出している。

　このオフ最大の懸案事項でもあった會澤翼の残留が決定。3年6億円（推定）と報道されており、少なくとも3年間は正捕手に困ることはなさそうだ。攻守の要としてはもちろん、選手会長を務めていることからもわかるとおり精神的な支柱としても存在感を発揮してくれるはず。

　その會澤残留があったからなのか、同じ捕手の磯村嘉孝が秋季練習で一塁の練習を始めている。會澤が固定されるとなれば、必然的に「捕手・磯村」の出番は減ってしまう。

　しかし磯村は打撃に優れており、ベンチにそのまま置いておくのはもったいない。一塁での起用ができれば、松山竜平と相手投手の左右によって使い分けるなど戦術の幅は大きく広がるはずだ。

　現時点で佐々岡新監督の起用プランはわからない。しかし、磯村が一塁を守ることができるようになれば、レギュラー格とまではいかなくとも出場機会が増えることは間違いない。ブレイクするひとつのきっかけとなる可能性は十分にあるだろう。

高校時代の磯村嘉孝

　その磯村は愛知県の中京大中京高校の出身。愛知県が誇る名門高校だが、現役OBは堂林翔太（広島）、嶋基宏（楽天）、若手のホープ伊藤康祐（中日）、2011年ドラフト1位の伊藤隼太（阪神）と磯村を含めて5人いる。

　伊藤康祐は若手ということもあり参考程度だが、その他の選手たちは中堅以上の年齢でありながら、今シーズンはレギュラー格として起用されていない。楽天一筋だった嶋に至っては退団報道も出ているほど。

　また、同校の歴代のOBを見ると侍ジャパンを率いる稲葉篤紀監督。阪急などで通算237勝をマークした野口二郎や慶応大学で監督を務めた江藤省三、中日一筋で通算1876安打を放った木俣達彦など、そうそうたるメンバーが名を連ねている。

　偉大なる先輩たちに少しでも追いつくことはできるだろうか。新境地を切り開くことになる磯村の来シーズンに期待したい。

＜今シーズン成績＞
磯村嘉孝（広島）
65試合／打率.278（108打数30安打）／4本塁打／21打点／0盗塁

文＝勝田聡