- トップ
- インタビュー
- 2019年インタビュー
- 野球センスと思考力の高さを秘めた東京都屈指のアスリートプレーヤー柳本康希(都立片倉)
第937回 野球センスと思考力の高さを秘めた東京都屈指のアスリートプレーヤー柳本康希(都立片倉)2019年04月08日

【目次】
[1]大きなインパクトを与えた東京代表セレクション
[2]高い身体能力を表現できる、言語化できる野球センスと思考力がある
東京都八王子市・都立片倉にプロのスカウトも注目するアスリート型。それが柳本 康希だ。本人によると遠投100メートル、50メートル6秒3と、彼よりもスペックが高い選手は全国に多くいるだろう。だが柳本はその身体能力をグラウンドで表現できる選手だ。
そのパフォーマンスの高さに惹かれ、今ではNPBスカウトも練習を視察するほど。また3月17日の国士舘との練習試合ではバックスクリーン弾を放ち、順調に成長を見せている。勝負をかける柳本の素顔に迫る。
大きなインパクトを与えた東京代表セレクション

バットを持つ柳本康希(都立片倉)
11月5日の東京代表のセレクションで大きな衝撃を与えた。この日のスケジュールは午前組、午後組で分けられ、柳本は午後組での参加となったが、そこで見せたシートノックで大きなインパクトを見せつける。ライトの守備位置は柳本はバックセカンド、バックサード、バックホームといずれもダイレクト、あるいはワンバウンド返球を見せた。しかも浅い位置からではなく、遠い位置からでも、鋭い返球を見せるのだ。
その送球は他の外野手と比べても誰よりも強かった。この反応は筆者だけではない。ネット裏から選手の引率で見ていた指導者も同じ反応だった。ちなみに都立片倉の宮本秀樹監督はこの場面をあまり見ていない。ちょうど弁当を買いだしていた時だった。
「戻ってきたら、知り合いの指導者から都立片倉の外野手すごいぞといってきて、あいつそんなすごいことやったんだな」と驚きのコメント。都内の指導者だけではなく、このセレクションを見ていたNPBのスカウトにも目が留まり、セレクション後、練習を見るスカウトもいた。
さらにベースランニングでは13秒94と驚異のタイムを計測。その俊足ぶりについて都立片倉の主将・松井 晴比古はこう証言する。
「練習試合ではいろいろなチームと対戦しますが、あいつ以上にベーランが速い選手は見たことがないです」
松井だけではなく、他の選手も同調する。いつから速かったのかを柳本に聞くと、「多分、野球を始めてからずっとだと思います」
足が速い選手ほど陸上部経験があったのかを聞かれるが、柳本はその経験もないという。中学時代は俊足を生かした左打者だったが、都立片倉に入学してからは宮本監督の勧めから右打ちに変更した。
これは柳本の将来を考えての変更であった。
「よく足を生かすために左打ちにする考えはありますが、私は反対です。左打ちでも強いスイングができるのならば別ですが、三遊間へ緩いゴロを打って足でヒットを稼ぐなら、シングルヒットと同じじゃんと思っていて。それならば、常にシングルヒット以上の結果を残せるよう、強いスイングをすることを求めてきました」
この方針のもと、2年生になると都立片倉の練習グラウンドの外野後方にあるネット上段まで飛ばすまでになった。実際に取材日で打撃練習を見る機会があったが、フェンス上段まで飛ばす打球が多かった。
中学時代まではショートだったが、高校では外野手に変更した。ここからスローイングについてもフォームを見直し、胸を張り、体全体を使ってスローイングすることにこだわると、一気に送球が強くなった。攻守で自信をつけた柳本はレギュラーの座を獲得し、2年夏はベスト8入りを果たした。
【次のページ】 高い身体能力を表現できる、言語化できる野球センスと思考力がある