夏の埼玉大会の組み合わせ抽選会が決まり、浦和学院の初戦の相手は本庄第一に決まった。注目は、高校通算31本塁打(5月時点)を放っている大型スラッガー・藤井 健翔内野手(3年)。飛距離に関しては今年の高校生ではピカイチだ。天性の長距離砲がこの夏活躍するための課題を考えていきたい。

 この春は県大会準決勝、決勝で3本塁打を放ち、これまで練習試合で発揮してきた長打力を公式戦の場で披露できるようになった。打った瞬間本塁打と確信できる打球を放てる高校生はなかなかいない。ボールをしっかりと呼び込んで角度をつける技術は天性のものがある。また、関東大会では横浜の織田翔希投手(2年)から2安打を放った。ストレートを左前安打し、変化球を捉えて右中間を破る二塁打。徐々に対応力が高まってきた。

 ただ、県大会序盤はなかなか安打が出なかったり、関東大会の帝京三戦では3三振に倒れたりと、極端に打席内容が悪い日がある。夏は独特の緊張感で行われ、さらに徹底マークされる中で試合に臨むことになる。厳しい攻めが予想される。

 春の県大会、関東大会を通して、藤井が凡退する時はタイミングが遅れ、バットが出てこない。常にフルスイングをしており、恐怖感はあるが、少しずつアプローチを広げる努力も必要になる。特にこの夏は勝ち進めば4回戦で石戸 颯汰投手擁する浦和実と対戦する可能性がある。昨秋の対決では藤井は4打数0安打で終わっている。テクニックが長けた投手の対応力を高めることが評価を高めるカギになるだろう。

 三塁の守備では、かなり上達が見えた。打球処理もうまくなり、深い位置からでもダイレクトで投げられる強肩は見事。まだ上手い三塁手と比べると、どうしても劣るが、それでもスラッガータイプとしては我慢できるまでの守備力になってきた。この冬は打撃以上に守備練習に取り組んできたように、苦手なことにもしっかりと向き合って取り組む姿勢も持っている。

 浦和学院・森大監督は藤井を「パワーは外国人打者みたい」と評する。その素材は、巨人・岡本和真(智弁学園)、中日・細川成也(明秀日立)に匹敵するほどではないか。

 高卒プロ志望を掲げている藤井はこの夏が勝負。昨年も夏の大会で多く安打を打った選手がドラフトで上位指名を受けた。初戦から厳しい戦いが待っているが、それを乗り越え、最高のパフォーマンスを見せることを期待したい。

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