2021年 エース候補とスラッガーが成長した智弁学園、エースが成長した智弁和歌山
21年のセンバツを逃した智弁和歌山は春季和歌山大会で世代屈指の右腕・小園健太投手(DeNA)擁する市和歌山と県決勝で対決し、7対1で勝利。打線は小園投手から7安打5得点をマークし、投げてはエースの中西聖輝投手(現・青山学院大)が完投勝利。投打ともに着実にレベルアップしていました。
近畿大会準決勝では大阪桐蔭と対戦しました。打線は4安打2得点にとどまりましたが、中西投手は8回まで2失点の好投。1年生の時はまだ威力ある直球だけが武器という印象でしたが、だいぶ実戦的になっていました。140キロ前半(最速143キロ)のストレートに加え、130キロ前半のカットボール、120キロ中盤のスライダー、110キロ前半のカーブを投げ分けて大阪桐蔭打線を抑えていました。内外野の守備も鍛えられていました。
智弁学園はセンバツで優勝候補と期待されながらも、準々決勝で敗退。主砲の前川右京選手(阪神)が打撃不振に終わり、実力を発揮できませんでした。センバツでの前川選手は長打を打とうとかなり力んだ打ち方になっていました。
しかし、近畿大会では前川選手はチームのために打つという心境で打席に立ち、1番打者として起用され、10打数6安打の活躍を見せました。この大会での前川選手はどのコースにも素直にバットが出て、シングルヒットでも鋭い打球を打ち返しており、状態の良さが伺えました。
また、小畠 一心投手(立教大)の成長も見られました。決勝戦の大阪桐蔭戦に先発した小畠投手は140キロ前半の速球、切れ味鋭いスライダーで大阪桐蔭相手に9回まで2失点の好投。10回裏にサヨナラ2ランを浴びましたが、速球はかなり伸びがあり、力で大阪桐蔭打線をねじ伏せる投球は今までにない姿で、夏に期待が持てました。
この両校は甲子園決勝戦まで勝ち進み、智弁和歌山が優勝します。智弁和歌山は近畿大会から見えた守備力・投手力の高さを発揮し、智弁学園は打撃好調の前川選手は2本塁打、小畠投手は西村王雅投手(東芝)の2枚看板として決勝進出の原動力となりました。
2024年 投手主体のチームから機動力、投手力、打撃力が備わったチームに変貌した京都国際
昨年の京都国際も春の近畿大会で変化が見られたチームです。センバツでの京都国際はエース・中崎琉生投手を中心に守り勝つチームで、打力が課題でした。しかし、近畿大会の戦いぶりを見ると、センバツから着実に成長していました。初戦は明石商相手にコールド勝ち。小牧憲継監督が「スラッガーはいないですが、3年生になる選手たちは守備力が高くて、ミートが良い選手が多いですね」と語ったように、澤田 遥斗外野手(西武)、4番藤本 陽毅内野手(中央大)、奥井 颯大捕手(東北福祉大)を中心に内野の間を鋭く抜く打球を連発する好打者揃いの打線に変貌していました。また投手では当時、2年生だった西村一毅投手も台頭し、近畿大会でも好投を見せました。
夏も期待できるチームだと思いましたが、まさか全国制覇するチームになるとは予想できませんでした。ただ、京都国際をずっと取材してきた記者によると、「選手たちの言葉、表情から自信がみなぎっているのが感じられました。勝ち続ける予感がしました」といいます。それを裏付けるように、3年生たちは大会期間中でも雨天練習場で練習を続け、ベンチ外の選手たちも懸命に練習したといいます。その団結力が全国制覇につながったかもしれません。
今年の近畿大会は智弁和歌山、天理、東洋大姫路、滋賀学園と4校のセンバツ出場チームに加え、大阪桐蔭も出場し、この5校は今年の近畿の本命とも呼べるチームです。
夏の躍進を予感させる試合内容を示すことができるか。勝敗を抜きにそこに注目したいと思います。
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