試合レポート

【春季埼玉県大会】花咲徳栄9回一挙5得点!山村学園のプロ注目左腕・西川を攻略し逆転で関東大会へ!

2024.05.05


花咲徳栄・石塚

【トーナメント表】春季埼玉県高校野球大会 結果一覧

<春季埼玉県高校野球大会:花咲徳栄8-4山村学園>◇4日◇準決勝◇県営大宮

気温30度に迫ろうとする県営大宮球場第1試合はプロ注目・石塚 裕惺(3年)を擁する優勝候補筆頭のAシード・花咲徳栄 vs MAX146km左腕・西川 歩(3年)を擁する山村学園との一戦。ネット裏に多数のNPB球団スカウトや日本ハムの栗山英樹CBOが視察していた。
昨秋も準決勝でぶつかり、その時は花咲徳栄山村学園に8対5で逆転勝利を収めたが、今回の一戦も手に汗握る一戦となった。
先発は山村学園がその西川、一方の花咲徳栄も先発の柱・背番号11の岡山 稜(3年)が登板し試合が始まる。

先制したのは花咲徳栄であった。

花咲徳栄は初回、山村学園・西川の立ち上がりを攻め、二死から
「2ボールになって取りに来るだろうと思って。取りに来た直球」(生田目)
と、生田目 奏(3年)がライトスタンドへ大会2号となるソロ本塁打を放ち1点を先制する。この場面西川も
「カウントが悪くなって四球を出したくないって次の石塚君が頭をよぎってしまった。石塚君に気が行っている所を生田目君が許してくれなかった」(西川)
と、悔やんだ。

花咲徳栄は2回表にもこの回先頭の田島 蓮夢(2年)がレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く横山 翔也(3年)も死球で出塁し無死一、二塁とする。だが、後続が三者連続三振に倒れ無得点に終わる。

すると、山村学園はその裏、この回先頭の田中 大貴(3年)がライト越えの三塁打を放ち出塁すると、続く藤原 将輝(3年)がライト前タイムリーを放ち1対1の同点とする。

これで勢いづいた山村学園は3回裏にも一死から門田 琥白(2年)が死球で出塁すると、続く鈴木 大和(3年)がきっちりと送り二死二塁とする。さらに3番・横田 蒼和(2年)が四球を選び二死一、二塁とチャンスを広げると、4番・田中がレフト線へタイムリー二塁打を放ち逆転に成功する。

だが、花咲徳栄は5回表、二死から1番・齋藤 聖斗(3年)がライトスタンドへ大会2号となるソロ本塁打を放ち同点とすると、6回表にも一死から4番・石塚が右中間へ三塁打を放つ。続く田島の所でキャッチャーがやや一塁方向へファンブルすると、これを三走・石塚が好判断で本塁を奪い3対2と逆転に成功する。

投げては花咲徳栄の先発・岡山がフォーム矯正中ながらこの日県営のガンで140kmを計測するなど前回登板時よりも内容が良く6回2失点でまとめると、7回からは満を持してエースの上原 堆我(3年)が登板する。

だが、山村学園は8回裏、一死から横田がセカンドへの内野安打で出塁すると、ベンチはこの日長打2本を放った4番・田中にベンチはバントの指示。田中はきっちりと送り二死二塁とすると、続く藤原が歩き二死一、二塁とする。ここで代打・吉田 翔大悟(3年)がレフト前タイムリーを放ち同点とすると、続く宮本 恵介(2年)もセカンド強襲タイムリーを放ち4対3と逆転に成功する。

最終回花咲徳栄の攻撃は7番から。シーソーゲームはこれで終いかと思われたが最後に劇的展開が待っていた。
花咲徳栄はやや疲れの見える山村学園・西川に対し、一死から代打・松田 空(3年)が四球を選び出塁すると、続く奥村 颯太(3年)がレフト前ヒットを放ち一死一、二塁とする。1番・齋藤がセンター前へポトリと落ちるヒットを放ち一死満塁とすると、
「最終回は7,8.9番で終わらせたいって気持ちが強くて体が硬くなってしまって。齋藤君のポテンで焦ってしまった」
という西川に対し、続く目黒 亜門(3年)が押し出しの四球を選び同点、さらに
「8回エースで逆転されてヤバいって思いましたが、相手も疲れていて荒れてるよと。ピンチなんで初球、直球はないだろう」(生田目)
と、3番・生田目が変化球を捉えライト越えの2点タイムリー二塁打を放つ。その後やや気落ちした西川に対し、続く石塚が死球で出塁し再度満塁とすると、二死後6番・横山 翔也(3年)がセンター前2点タイムリーを放ち試合の大勢は決した。

結局、花咲徳栄が8対4で山村学園の挑戦を跳ね返し、夏のAシードと関東大会出場を決めた。

まず山村学園は昨秋のリベンジとはならなかった。
「勝つならロースコアだと思っていて、こっちの流れだから落ち着いてやれよと伝えていたんですが。最終回は齋藤君のフライが取れていれば。ただ、皆があそこでファイティングポーズを取るのを止めてしまった。西川はよく投げましたけど…。今回はめちゃめちゃ悔しいけど西川のためにも負けて良かったかも。勝っちゃうとまたすぐ鼻が伸びるので。この春は仮想・夏ということで全部先発でと伝えて。大会でも連投させたことがなかったのでどれだけ大変なのかを体感させた。その上で夏はマシンガン継投で。候補はいるので。打線も今大会は低反発バットということで西川中心の守備重視の布陣を組みましたが僕自身打つチームが好きなので、大きく組み変わります」(岡野監督)
と、西川の奮起を促しつつ、例年通りの強力打線に組み替えることとマシンガン継投を予告。既に投打でインパクトはあるが、夏は別のチームに生まれ変わりそうだ。

一方の花咲徳栄は、最終回の攻撃は流石の一言。
「こういう展開になるとはわかっていたので。前の試合で競ったゲームをできて良かった。今年は秋の時点で埼玉は左を打たなければということでやってきた。西川君は思ったよりボールが来ていてスライダーの抜けも良かったので時間かかるかなとは思っていた。本当は最終回の攻撃をもっと前半からしたかったんだけど。1,2,3番が頑張ると4番がどんと構えているので良い繋がりが生まれた。今日は岡山の調子も良く1球追い込んでから残念なボールがあったぐらい。上原は投げなさすぎて現状散っているけど関東までに調整してくれれば。8回はあそこでピシャって行ったらカッコ良かったんだけど。関東大会は思い切ってやらせてあげたい」(岩井監督)
と、先を見据える。石塚を中心とし関東大会でももうひと暴れしてくれそうだ。

【トーナメント表】春季埼玉県高校野球大会 結果一覧

この記事の執筆者: 南 英博

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