Column

大濠・西短・九国 今年の福岡は私立3校がそれぞれ全国舞台で活躍

2021.12.26

 2021年の福岡は春、夏、秋と違う私立強豪校が全国の舞台に挑んだ。

福岡大大濠がセンバツベスト8

大濠・西短・九国 今年の福岡は私立3校がそれぞれ全国舞台で活躍 | 高校野球ドットコム
福岡大大濠・毛利投手

 前年の秋季九州大会で準優勝の福岡大大濠が胸を張ってセンバツに挑んだ。初戦の相手は奇しくもその九州大会決勝で敗れた大崎(長崎)だったが、先発の毛利 海大投手(3年)が9回1失点完投勝利。10奪三振の快投で2対1で勝利した。6回までわずか1安打ピッチング。見事なリベンジとなる1点差勝利となった。2回に松尾 光気外野手(3年)がマークした2点適時打の2得点を守り切った。

 2回戦も同じ九州勢の具志川商(沖縄)が相手だった。4対4で延長戦へともつれた試合を、11回表に初戦で活躍した松尾の勝ち越し弾を含めて4安打を浴びせて4得点。8対4で接戦をものにした。先発9.2回を4失点と踏ん張った毛利の後を受けた、馬場 拓海投手(2年)が無失点に切り抜けて勝ち投手となった。

 初のセンバツベスト4をかけて挑んだ準々決勝は、優勝した東海大相模(神奈川)の前に0対8で敗れた。先発の馬場が2回途中4失点で降板。2番手の毛利も4失点を許してしまった。打線も東海大相模石田 隼都投手(3年)の前にわずか3安打14三振を喫する完敗だった。改めて全国頂点のレベルの高さを痛感した。

西日本短大附が夏出場

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西日本短大附・江口

 夏の甲子園に駒を進めたのは、大本命の福岡大大濠ではなく西日本短大附だった。来季から日本ハムの指揮官となる新庄 剛志監督の母校が、11年ぶり6回目の聖地に足を運んだ。

 夏の戦いを知っている伝統校は、5回戦まで自慢の打線力を生かして快勝を重ねたが、準々決勝、準決勝は1点差で勝利する苦戦。その経験が生きたのか、決勝ではエース大嶋 柊投手(3年)が、真颯館打線を3安打に抑え、完封勝利で甲子園をつかんだ。

 甲子園では全国の壁に当たって初戦敗退した。大会屈指の左腕、のちにドラフトでロッテ4位に指名された二松学舎大附のエース秋山 正雲投手(3年)の前に、4安打しか打てず0対2の完封負け。エース大嶋が4安打2失点完投の好投を見せたが、福岡の夏を制した打線が力を発揮する間もなく甲子園を去った。

九州国際大付、九州王者として明治神宮4強

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九州国際大付・佐倉

 新チームでは、夏までのチームから多くの選手が残った九州国際大付が圧倒的な強さを誇った。春は九州大会で準優勝すると、夏もベスト8。その主力が残り秋に快進撃を見せた。福岡大会はすべて快勝で優勝すると、九州大会でも勢いは止まらずに秋初優勝した。

 主将の野田 海人捕手(2年)、黒田 義信外野手(2年)や、1年生4番の「ジャンボ」こと、佐倉 侠史朗内野手が長打力を誇り、チームの打線を引っ張った。投げては左腕の香西 一希投手(2年)と投手でもある野田捕手の2枚看板が九州内で無敵を誇った。

 初の明治神宮大会では、クラーク記念国際(北海道)、日大三島(東海・静岡)を破りベスト4。大阪桐蔭(近畿・大阪)との準決勝で2対9と力の差を見せつけられたが、優勝したチームとの対戦は来年に向けて貴重な体験となり、出場が確実なセンバツの舞台で生かされるはずだ。

(記事=浦田由紀夫)


今季活躍した3校の春からの全成績は以下の通り。

福岡大大濠
<センバツ>
1回戦 2-1 大崎(長崎)
2回戦 8-4 具志川商(沖縄)
準々決勝 0-8 東海大相模(神奈川)
<春季九州大会>
2回戦 2-1 津久見(大分)
準々決勝 4-0 明豊(大分)
準決勝 0-8 具志川商(沖縄)
<夏福岡大会>
2回戦 9-0 玄洋
3回戦 6-0 博多
4回戦 8-1 新宮
5回戦 4-1 春日
準々決勝 0-3 筑陽学園
<秋季福岡大会>
2回戦 13-1 純真
3回戦 7-0 修猷館
4回戦 8-6 久留米商
5回戦 4-0 福岡工大城東
準々決勝 10-12 飯塚

西日本短大附
<春季福岡大会>
2回戦 10-0 香住丘
3回戦 3-0 博多
4回戦 5-0 福岡
5回戦 0-5 久留米商
<夏福岡大会>
2回戦 10-0 八女農
3回戦 9-2 糸島
4回戦 10-7 育徳館
5回戦 12-2 折尾愛真
準々決勝 1-0 戸畑
準決勝 9-8 飯塚
決勝 5-0 真颯館
<夏甲子園>
2回戦 0-2 二松学舎大附(東東京)
<秋季福岡大会>
2回戦 8-3 祐誠
3回戦 10-9 筑紫台
4回戦 17-0 福島
5回戦 2-3 福岡

九州国際大付
<春季福岡大会>
3回戦 3-0 小倉商
4回戦 5-0 希望が丘
5回戦 9-0 京都
準々決勝 2-0 久留米商
準決勝 9-1 戸畑
決勝 7-3 真颯館
<春季九州大会>
2回戦 2-0 大分舞鶴(大分)
準々決勝 7-0 宮崎商(宮崎)
準決勝 2-1 興南(沖縄)
決勝 1-3 具志川商(沖縄)
<夏福岡大会>
2回戦 7-2 八幡南
3回戦 13-3 小倉
4回戦 5-1 九産大九州
5回戦 6-2 沖学園
準々決勝 3-10 飯塚
<秋季福岡大会>
2回戦 5-0 北九州市立
3回戦 4-0 希望が丘
4回戦 20-0 鞍手
5回戦 13-3 東筑
準々決勝 9-1 福岡
準決勝 9-2 自由ケ丘
決勝 13-1 福岡第一
<秋季九州大会>
1回戦 6-4 鹿児島城西(鹿児島)
準々決勝 13-0 明豊(大分)
準決勝 12-2 長崎日大(長崎)
決勝 12-6 鹿児島大島(鹿児島)
<明治神宮大会>
1回戦 5-1 クラーク記念国際(北海道)
2回戦 2-1 日大三島(東海・静岡)
準決勝 2-9 大阪桐蔭(近畿・大阪)

(記事:浦田由紀夫

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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